専門性や翻訳証明書が求められる産業翻訳、法務翻訳、公証翻訳
文書やその他のコンテンツを翻訳する際には、まず、最適な翻訳サービスを選ぶことが必要です。翻訳の種類によって、作業範囲や具体的な要件、求められるものが異なるため、どのような翻訳であるかをしっかりと理解した上で発注することが重要です。
ここでは、翻訳サービスを選択する際の参考となるように、3つの専門的な翻訳について紹介します。
産業翻訳・業界別の専門翻訳
産業翻訳や業界別の専門翻訳は、それぞれの分野に特化した翻訳サービスに依頼することが望ましいものです。各業界には、独自の概念や専門用語があるため、産業分野に関わる翻訳には高い専門性が必要とされます。
一般的に産業翻訳や業界別の専門翻訳は、製品やサービスの販売や、コミュニケーション、情報共有を、国境を越えて行うビジネスの世界で活用されます。担当する翻訳者には、当然ながら業界についての知識や経験が求められます。
例えば、法律や法務に関わる翻訳は、極めて専門性の高いものです。1つの翻訳ミスが訴訟リスクにつながることさえあるため、法律や法務に精通した翻訳会社・言語サービスプロバイダーに翻訳を依頼することが重要です。
翻訳会社・言語サービスプロバイダーの多くは、業界ごとにサービスを細分化しており、臨床試験や医療機器を含むライフサイエンスや製薬業界、教育や学習の分野、法律、金融、テクノロジー、自動車、電子商取引、研修や接客など、それぞれの業界に即したサービスを提供しています。
証明書付き翻訳
文書の真実性を示す必要がある場合、翻訳会社が、その訳文が原文を正しく翻訳したこと示す署名入りの証明書を発行します。他の言語で書かれた文書を公的機関などに提出する際、こうした証明書が必要となることは少なくありません。
証明書が必要となるのは、例えば以下のようなケースです。
- 旅行者が海外で医療機関を受診するような場合
- ビジネスの契約書、謄本、養子縁組の書類、出生証明書、結婚証明書、死亡証明書などの法的書類を翻訳する場合
- プロトコル、研究データフォーム、インフォームドコンセントなどの医療・医学研究に関わる規制関連文書を翻訳する場合
- ビザの申請や人事資料作成のために必要な経歴を翻訳する場合
翻訳証明書が特に必要となる事例のひとつは入国管理です。米国などではすべての文書に認証された英語翻訳を添付することが義務付けられています。
公証翻訳
もうひとつの翻訳タイプは、公証翻訳です。これは翻訳会社が公証人に文書の認証を依頼するもので、公証人とは政府から認可を受け、各種法的要件を証明する資格を持つ人物です。
公証翻訳では、翻訳者が翻訳の正確さを誓約する書面に署名します。場合によっては、翻訳者に宣誓が求められることもあります。これらの誓約を受けた後、公証人は翻訳者の身元を照会し、書類に捺印します。
つまり、翻訳の公証とは、翻訳自体の正確さを証明するものではなく翻訳者がその正しさを、しかるべき手続きで宣誓した書面であることを公証人が証明するものなのです。公証翻訳を行う理由の一つは、翻訳の不正を防ぐためのセキュリティ強化です。翻訳者による署名や宣言により、翻訳者の身元や翻訳手続きについての不正を防ぐのです。
もう一つの理由は、書面の翻訳手続きが真正なものであることを証明することが、他国での法的根拠になるからです。海外の卒業証書や成績証明書などの翻訳など、教育に関わる文書で必要とされるケースが少なからずあります。
世界に進出しようとする場合、まずは自分たちがどのようなタイプの翻訳サービスを必要としているか見極めなくてはなりません。無駄な作業をなくして最適な翻訳を行うため、専門の翻訳会社に対し、どのようなニーズがあり、最終的に何を納めてもらいたいかを的確に伝える必要があります。