コンテンツマーケティングをグローバルに展開する5つの方法
コンテンツマーケティングは、BtoBとBtoC、いずれにおいても、オンライン上のプレゼンスを高める強力なツールです。しかし、グローバルにビジネス展開する場合、ターゲット国それぞれのニーズに合わせてマーケティング戦略を変更する必要があります。
このようなジレンマは、事業主やグローバル企業のマーケティング担当者であれば、誰もが経験するものです。コンテンツには統一性と一貫性が必要ですが、オリジナルの意図を厳密に維持しつつターゲット市場の文化に合わせるには努力を要することもあります。この記事では、ターゲット市場ではどのようなステップで戦略を立てればよいかのヒントをご紹介します。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングは、マーケティング戦略の中で、最も影響力があり、インパクトのあるものの1つと考えられています。潜在顧客の関心を引き、顧客として獲得するには、SNSへの関連情報や動画の投稿、記事の共有、その他の有益な情報コンテンツの作成などを含めた作業が必要です。
コンテンツマーケティングの提案を行うContent Marketing Instituteによると、コンテンツマーケティングはビジネスに利益をもたらし、売上増加、コスト削減、より質の高い上顧客の獲得につながるとしています。よって、グローバルに事業を展開する企業で、ターゲット市場の顧客に働きかけ、引きつける方法を模索しているのであれば、コンテンツマーケティング戦略をターゲット市場に合わせて調整する必要があります。
適切な予算を割り当てる
マーケティング予算のうち、25~30%をコンテンツマーケティングに費やすことが望ましいとされています。予算を決めるには、社内のチームで対応するか、マーケティング会社に依頼するか、もしくはフリーランスなどに依頼するか、どのような体制で作業を進めるかを決める必要があります。最も効果的なマーケティング戦略を狙うならば、SEO管理者、SEOコンテンツライター、ウェブ開発者、コピーライター、グラフィックデザイナーなどの人材を揃える必要があります。
調査によると、最も成功したコンテンツマーケティングには、マーケティング予算の40%が費やされており、反対に最も成功しなかったものには14%しか費やされていなかったということです。
すべての会社に対して当てはまる予算はありませんが、コンテンツマーケティングは費用対効果が高く、正しく実行すれば必ず成果が出るということを念頭に入れておくことが大切でしょう。
グローバル企業が事業拡張を成功させるには
他のマーケティング活動と同様に、新しい市場への進出を決定するには、市場調査やターゲット地域の文化、守るべきルールなどを含めて、入念な準備が必要です。その上でこそ、潜在顧客に影響を与え、企業の商品やサービス、ブランドとの接点を作り、顧客として獲得するためのコンテンツマーケティングを構築することができるのです。
オンラインのコンテンツマーケティングのプラットフォームであるSemrushは、効果的なコンテンツマーケティング戦略のためのガイドとして、全体的なコンテンツマーケティングを構築する5つの重要なステップを紹介していますが、以下の3つに重点を置いています。
- コンテンツ視聴者のペルソナ(商品やサービスを利用する典型的な顧客)の特定
- マーケティングの目的と目標の設定
- 実行計画の策定
紹介する5つのステップは、一般的なコンテンツマーケティングに適用できますが、異なる文化圏を対象とする場合には、さらに細かいステップを踏まなければなりません。
さまざまなコンテンツ視聴者をターゲットにする際、より魅力的なコンテンツを作成するための5つのステップを紹介します。
1. ターゲット言語に精通した人材を採用する
潜在顧客をよりよく理解するためには、必要な知識を有する現地チームやメンバーを採用することが決め手となります。「企業は、顧客が何を求めているかをよく理解している人物をチームに加えることで、自社の製品やサービスを次のレベルに引き上げることができます。」と、不動産業者とその顧客、双方のためのプラットフォームを提供するPropertySimpleの創設者兼CEOのエイドリアン・フィッシャー氏(Adrian Fisher)は、Forbesの記事で述べています。
ターゲット言語に精通した有能な人材を探す方法の1つは、LinkedInを利用することです。候補者の経験やスキル、推薦状にアクセスすることができます。雇用コストは、人材の居住地や経験によって異なります。例えば、米国を拠点とするコピーライターの人件費は、タイのコピーライターよりも高くなる傾向があります。求めるスキルや人材の状況に応じて確認する必要があります。
最初のステップとして、現地の競合他社を調査し、その雇用条件を参考に、競争力のある給与を提示することも一案です。
ターゲット言語に精通した人材、ターゲット言語でコンテンツが作成できるライター、コピーライター、さらにはグラフィックデザイナーを採用することで、SNSの投稿、ブログ記事、動画など、視聴者にとって自然に感じられるコンテンツを作成できるという利点が得られるのです。
2. 翻訳を活用する
顧客基盤を拡大し、強力な競争力を得るためには、ウェブサイトを翻訳・ローカライズし、ターゲット市場ごとの顧客対応をすることが不可欠です。ハーバード・ビジネス・レビューの記事によると、「消費者の72.1%が、ウェブサイトを閲覧する時間のほとんど、あるいはすべてを自国語での閲覧に費やしている」「消費者の72.4%が、自国語の情報があれば製品を購入する可能性が高いと回答している」のだそうです。これは、多言語ウェブサイトを持つことの利点と、現地の潜在顧客を引きつける上で翻訳が果たす重要な役割を裏付けています。例えば、フォーチュン500社のうちの1社であるアップルは、ビジネス展開するそれぞれの国が自国語のコンテンツを閲覧できるようにすることで、顧客を獲得しています。ウェブサイト翻訳またはローカライズのコストは、サイトの構造・規模、言語数などによって異なります。ウェブサイトを翻訳・ローカライズすれば、ターゲット市場の顧客に違和感なく閲覧してもらえるようになり、商品やサービスのイメージや情報を損なうことなく、新しい顧客を獲得するために役立つでしょう。
3. SNSで情報を拡散する
スターバックスは、グローバル展開に成功した良い例です。シアトルの小さなコーヒーショップから、世界中に33,833店舗(2021年時点)を展開するまでに成長しました。スターバックスは、展開先の国の人々をターゲットにしたSNSアカウントを作り、それぞれに合った戦略で展開しています。
各国のスターバックス、例えばフランス、日本、中近東などで、現地の顧客に対して、それぞれの言語で共感できる内容を発信しています。また、基本的な売れ筋商品はそのままに、現地のニーズや嗜好に合わせてメニューを拡大していることも現地に適応するための戦略の一つです。
4. ローカルSEOに注力する
インバウンドマーケティングのためのソフトウェアを開発・提供する会社HubSpotは、ローカルSEOの定義を 「主に実店舗を持つ地元企業の検索エンジン上での視認性を向上させるプロセス 」としています。つまり、物理的な海外進出を計画しているのであれば、ローカルSEOに注力することは優先事項の1つであるべきなのです。HubSpotのアドバイスのひとつに、Googleマイビジネスにおけるビジネスプロフィールの現地化する、つまり住所、電話番号、その他すべての連絡先情報をすべてのプラットフォームで統一すること、そして最も重要な取り組みとして、ローカルコンテンツを作成することを挙げています。
SEO対策とは検索エンジンのランキングを上げることであり、これはSEO対策チェックリストのステップを踏まえて対応することで実現可能です。と同時に、関連性の高い、よく吟味されたコンテンツを共有し、閲覧者にとって有益な情報を提供することも重要です。コンテンツの内容はビジネスの種類によって異なるので、無限の可能性があります。ライフスタイルのブログ記事、マーケティングのガイドラインなど、潜在顧客が関心を寄せる内容を共有しましょう。
5. CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を導入する
CMSとは、「コンテンツ・マネジメント・システム」の略で、コーディングなしでウェブサイトを作成・管理できるソフトウェアのことです。WordPress、Drupal、Joomla、MagentoなどのCMSは、ユーザーフレンドリーなインターフェースの設計が可能で、テンプレートも豊富に揃っています。このようなソフトウェアを選択してウェブサイトを構築することで、サイトのメンテナンスコストを削減し、複数の異なるプロジェクトに取り組むことができる上に、その操作に専門知識を必要としないため、だれでも簡単に使用することができます。また、WordPress用のPolyLangなどのプラグインを通じて、Webサイトを多言語化することも可能です。
グローバルにビジネスを展開する上で、ウェブサイトの翻訳・ローカライズは必須です。翻訳・ローカライズ作業を行う際には、翻訳管理ソフトウェア(TMS)を使うと時間を節約することができます。TMSを利用した社内でサイトの翻訳・ローカライズする以外に、そうした作業を専門とする翻訳会社・ランゲージサービスプロバイダ(LSP)に作業を委託することもお勧めです。
コンテンツマーケティング戦略を策定することは、顧客との距離を縮めるための賢明な方法です。グローバルにビジネスを展開する企業は、ターゲット市場を深く掘り下げ、現地の人々に最適なコンテンツをカスタマイズする必要があります。現地の人材を採用することは良いスタートとなりますが、現地のSEO戦略、コンテンツ翻訳、SNSのカスタマイズを考慮しつつ、常に市場の動向に注視し、顧客について深く理解するよう努める必要があります。