グローバル企業がSD-WANを導入するメリット7
ビジネス環境は、ITの目覚ましい日進月歩により急速に変化しています。企業は、こうしたITの進歩を取り入れ、常に変化する動向と需要への対応を迫られています。さらに、作業負荷と共に増大する複雑な要件への対応も必要であることから、従来のネットワークでは効率的に機能することが難しくなってきました。そこで接続ソリューションに「SD-WAN」と呼ばれるソフトウェアによる広域ネットワーク(WAN)を一元管理する技術やサービスを導入することが検討されるようになってきたのです。
SD-WANとは
SD-WANとは、Software Defined Wide Area Networkの略で、企業がMPLS(マルチプロトコル ラベル スイッチング)、LTE(ロングタームエボリューション)、あるいはブロードバンド・インターネットサービスなどの接続サービスを利用して通信できるようにする広域ネットワーク・アーキテクチャです。物理的な機器によって離れた拠点をつなぐ従来のWAN(広域ネットワーク)は、設定に費用や時間を要するため、複数の箇所に拠点を持つ企業にとっては課題の多いものでした。SD-WANは企業のネットワーク・アーキテクチャを大きく変え、ソフトウェアによって仮想的に定義できるようにしたWANを一元管理することで拠点間やクラウドへの接続の柔軟性を向上させ、適切にトラフィックを管理できるようにしました。SD-WANの導入により、企業は安全な接続と通信の最適化に加えて、国内外に関係ネットワーク・アーキテクチャことが可能となっています。
SD-WANの特徴的な機能のひとつは、複数の接続タイプ(MPLS、ブロードバンド、ワイヤレス)を管理できることです。また、トラフィックをセグメント化、分割、保護することも可能です。メリットとしては、展開の容易さ、一元管理機能、拠点間やクラウドへの接続の向上などが挙げられます。
SD-WANを導入することで改善される問題
SD-WANは、従来のWANに比べて効率および費用対効果の高いビジネス向けアーキテクチャとなっています。最も重要な機能は、セキュリティの確保です。また、伝送するデータや通信の内容や重要性によって異なる回線から最適な経路を通るように設定できる機能も有用です。つまり、高いセキユリティが要求される場合には専用線を利用し、それほど高いセキユリティを求めない場合であれば既存のインターネット回線を利用するといった使い分けができるのです。トラフィックを分散させることで、最適な通信環境を確保することができます。以下にSD-WANのメリットを3つ挙げておきます。
- 通信環境全体の品質が向上するので、ADSL、光回線、LTEといったさまざまな接続オプションを利用することができる。
- 連結されたすべての機器を中央のソフトウェアに接続できるようにすることで、オーバーレイネットワーク(仮想的なネットワーク)/アンダーレイネットワーク(物理的なネットワーク)の問題を解決できる。
- さまざまな通信キャリアから複数の接続を利用することが可能になる
グローバルビジネスにおけるSD-WAN導入の 7メリット
1.クラウドインテグレーション
IT技術の進歩により、クラウドおよびサービスとしてのソフトウェア(SaaS)への接続を介したアプリケーションの利用が増加しています。このような状況下、SD-WANを導入すれば、集中管理されたネットワーク・アーキテクチャにおける経路の選択や接続の最適化が可能です。
SD-WANを利用することで、クラウドベースのアプリケーションへのアクセスが容易になる上、最適なセキュリティが提供されます。接続のシンプルさと複雑なワークフローは企業にとって魅力的です。
2.機動的なネットワーク帯域幅管理
帯域幅とは、同時に転送できる情報量のことです。ネットワーク上で転送する情報量(データ容量)や物理的特性による制限は通信パフォーマンスに影響するので、ビジネスにおける通信にとって非常に重要な要素です。
帯域幅は多数のユーザーやアプリケーションで共有されるので、特定の種類のトラフィックにどの程度の幅に割り振るなどして帯域幅の使われ方を処理する帯域幅管理が必要となります。発信元・着信元、優先順位、アプリケーションの種類などに基づいてトラフィックをカテゴリに分類して、それぞれに制限を割り当てるのです。ネットワークのトラフィックの種類に応じて帯域幅を割り振ったり、転送する情報に優先順位を付けたりといった管理をすることで、ネットワーク性能を最適化することができます。
SD-WANのアーキテクチャは、それぞれの拠点間を効果的に接続することで、複数の伝送回路間の情報量の負荷を分散させます。
3.高セキュリティレベル
デジタル空間における接続のセキュリティは鍵となる要素です。全ての企業、ビジネス取引において最も必要とされるもののひとつなので、企業が選択するセキュリティ対策のタイプは事業の成功にとっても過言ではありません。その点、SD-WANはあらゆるビジネスのデータを暗号化して保護することが可能です。
SD-WANは攻撃にさらされるリスクを削減し、エンドツーエンドの暗号化を可能にするオーバーレイを構築する機能を有しています。これにより、企業はネットワーク全体で高度なセキュリティまたは規制コンプライアンスのセキュリティ要件を満たすことができるのです。
4.集約サポート
SD-WANの強みのひとつが、複数のネットワーク回線をひとつに集約できることです。この機能は、合併や買収が必要とされるサプライチェーンや業界にとってメリットとなります。
またSD-WANは、個々の配置(場所)において、ほぼリアルタイムの柔軟性と拡張性を提示することができます。ネットワークユーザーは、ハードウェアを調達・配送・構築する手間を要さずに、ソフトウェアを介してVPN、WAN最適化、さらにはファイヤーウォールの構築と設定が可能です。
5.経費節約
セキュリティ問題に対応する場合、どの企業のスキームにとってもコスト管理が重要です。SD-WANであれば、既存のネットワークインフラ上で動作させるため、簡単に目的が達成できます。分散しているすべての拠点(事業所など)を接続する独自のネットワークを構築する必要があることは、企業にとって好都合です。
さらに、ITソリューションプロバイダーのサポートがあれば、企業は低コストのブロードバンドテクノロジーを使ってMPLSの増強またはリプレースをすることもできます。
6.ハイブリッドWANの可視化
SD-WANは、複数の拠点とのネットワーク接続を可視化して一元管理するシステムですが、可視化の状況が悪いと事業にとってリスクとなります。
ネットワークの経路をモニタリングすることは、どのようなビジネスにとっても不可欠な要素です。ネットワークドメインのすべてのレイヤーを測定する必要があります。IT担当者は、ユーザーが経験するだろう問題がどこで発生するかを可視化し、内部ネットワーク、アプリケーションプロバイダーまたはインターネットプロバイダー(ISP)のいずれかに問題の根源があるかを判断しなければなりません。
SD-WANは、ネットワークの使用状況、データの有用性、サイト、サーバー、アプリケーション、さらにユーザーを追跡する豊富なパフォーマンス・モニタリングとトラブルシューティング(問題解決)を提供します。これにより、ネットワーク管理者は、意図したようにSD-WAN環境を運用し続けることができるのです。
7.継続的運用の促進
SD-WANソリューションは、ネットワーク上にあるすべてのサイトにおいて、複数の接続オプション、テクノロジー、およびプロバイダーを提供し、ダウンタイムを削減し、事業の継続的運用を促します。
SD-WAN Cloud(クラウド)は、マルチクラウド環境間の切り替えを簡素化するのにも有用です。加えて、企業はクラウド配信を最新の状態に保つことができます。この結果、最新の(ソフトウェアなどの)バージョンと企業がその最新バージョンを実装するまでのタイムラグをなくすことができます。
SD-WAN:まとめ
管理の容易さ、可視性、セキュリティの高さは、ビジネスの継続的運用を確かなものにするための柱となる重要な要素です。SD-WANは、ビジネスの成長にとって理想的なネットワークソリューションです。SD-WANの俊敏性、コスト面でのメリット(費用対効果)、柔軟性、そしてパフォーマンス向上といった特徴は、ビジネスの継続に必要な幅広い項目を網羅しています。SD-WANを導入していれば、数回クリックするだけで、新しいアプリケーション用のネットワークサービスの追加や既存のアプリケーションの拡張を簡単に行うことが可能です。
すべてのビジネス界が、不安定なデジタル世界で安定性を確保することを目指しています。適切なテクノロジーソリューションを選択する先見の明を持つ企業は、事業を大きく広げることができるでしょう。