言語のトリビア20 - だから言語は面白い

「言語」と聞いて何が頭に浮かびますか?宇宙で最初に語られた言語がロシア語だなんて思い浮かぶ人は少ないでしょう。少数言語の研究団体国際SILの公開しているウェブサイトEthnologueによれば、現在、世界には7117言語がありますが、数は驚くべき言語のトリビアのひとつにすぎません。言語の魅力は他にもたくさんあります。今回は20の言語トリビアを紹介します。

  1. 98分に1つ新たな言葉が生まれている!毎年平均5400ワードもの英単語が生まれていますが、そのうちの1000ワード程度だけが新語として人々の生活に浸透し、積極的に使われるようになっています。言語は日々変わっているのです。
  2. 第二言語が脳の老化を抑える!言語を新たに学ぶには大量の暗記が必要となり、記憶力を高めることになります。そのため、バイリンガルあるいは二言語以上の言語を習得することは、認知症の発症を遅らせるというように脳の老化を抑えることができるとされています。
  3. ウィリアム・シェイクスピアは1700ワード以上の新語を生み出した。劇作家であり詩人でもあったウィリアム・シェイクスピアは、日常生活では使われていなかった言葉を組み合わせてたくさんの新しい言葉を生み出しました。シェイクスピアは、名詞を動詞に、または動詞を形容詞に変えたり、あるいはさまざまなワードに接頭語や接尾語を付けたりして新語を創り出したそうです。今でいう「流行語大賞」でしょうか。
  4. 数千もの英単語はフランス語から派生した。ヘイスティングズの戦いでノルマンディー公ウィリアムがイングランド王ハロルド2世を破ってイギリス征服を果たした歴史的背景により、英語の中にはフランス語に由来する言葉が数多く含まれています。一説には、英単語の30%以上がフランス語由来であるとのこと。例えば日本語でも「クーポン券」として親しみのある「coupon」ですが、英語の割引券、切り取り片という意味は、フランス語の“couper(切る)”から派生しているそうです。
  5. 世界の言語で最もアルファベット(表音文字)が多い言語は?カンボジアの公用語であるクメール語は、アルファベット(表音文字)が世界で最も多い言語としてギネスブックに登録されています(1995年)。登録は現在使われていないものも含めて74文字となっていますが、使われているものを見ても、母音字23と子音字33に加えて独立母音(子音を伴わない独立した母音字、クメール語では完全母音と呼ぶ)や特殊音などがあり、その組み合わせ数は……。これだけでも十分多いのに、南インドのタミル人のタミル語には247ものアルファベットがあるそうです。こうなると文字を覚えるだけでも大変です。
  6. 世界の言語で最もアルファベット(表音文字)が少ない言語は?一方、最もアルファベットが少ない言語は、パプアニューギニアの島で使われているロトカス語(Rotokas)で、12文字で構成されています。
  7. アメリカには公用語がない。アメリカの公用語は米語(American English)だと思われがちですが、アメリカには公用語がなく、非常に多くの言語が使われているというのが実態です。
  8. 200以上もの架空言語が創作されている。本(物語)、映画、テレビ番組でたくさんの架空言語が作られています。例えば、映画。『スタートレック』のクリンゴン人の話すクリンゴン語や、『指輪物語』のエルフ語など、物語の世界観を表現するのに言語が大きな役割を担っています。
  9. アジアには2000を超える言語がある。Ethnologueによれば、世界の言語数の分布で最も多いのがアジア地域で2294言語。続いてアフリカの2144言語となっています。
  10. ロンドンで使われている言語数。ロンドンでは、300以上の言語が話されており、この数は世界のどの都市よりも多いとされています。
  11. 英語のルーツはイギリスではなくドイツ。英語はイギリスの母国語とされていますが、そのルーツは西ドイツの海辺に住んでいたアングル族に遡ります。古英語またはアングロ・サクソン語と呼ばれる言語が英語のベースとなっています。
  12. 200以上の言語が消滅の危機に瀕している。話者がいなくなってしまった言語、データあるいは記録に残らなかった言語は「消滅」したと見なされます。現在使われている言語のうち90%の言語は話者数が10万人を、40%は話者数が1000人を下回っており、それらの言語は危機に瀕している状況です。今世紀末までに多くの言語が消滅してしまう可能性があると懸念されています。
  13. 英語のアルファベットは変化してきた。現在使われている26文字の英語のアルファベットは16世紀に定着されたとされていますが、過去には「æ」「œ」の2つの合字やアンパサンド (&) を含めて29文字とされていたことや、もっと少なかったこともあったようです。
  14. 学習が最も困難な言語は北京語。世界中で最も話者の多い言語であるにも関わらず、北京語は学習が最も困難な言語のひとつとされています。言語の音によって意図するところが変わってしまう点も難しいところですが、覚えなければならない文字(漢字)の多さも学習者にとっては大変な壁となっているのでしょう。
  15. 英語は最も単語数の多い言語か?どの言語も他の言語と相互に影響して単語の増減を繰り返していますが、英語は他のインド・ヨーロッパ言語と比較して、単語数の多さが飛び抜けています。オックスフォード(英英)辞典には61万語以上の語句が収録されています。
  16. 世界の人口の半数が使っているのは23言語。世界の言語数が7000を超えているのに、世界の人口の半分以上が使っているのはたった23言語です。
  17. 韓国と北朝鮮の人々が話す言語には違いが生まれている。両国が長年分断されてきた歴史の中で、それぞれの言語には独特の語彙と文法ルールが生まれています。
  18. 「アルファベット」はギリシャ語由来の単語。文字のことを英語で「アルファベット(alphabet)」と言いますが、これはギリシャ文字の初めの2文字「α(アルファ)」と「β(ベータ)」 に由来しています。
  19. 名詞の性別が混乱を招く。名詞に性(文法的性)、つまり男性名詞と女性名詞のある言語がありますが、ドイツ語やロシア語のように中性名詞のある言語もあります。日本語には文法的性がないので、文法的性のある言語を学習するとき、名詞性の区別やそれにともなう格の変化に戸惑うことも多いことでしょう。
  20. 口笛の音で会話が成り立つ。世界には口笛が情報を伝達する言語として機能しているものもあります。例えば、スペインのカナリア諸島ではシルボまたはシルボ・ゴメーロ(silbo gomero)と呼ばれる口笛言語がコミュニケーションツールとして使われています。

人々がコミュニケーションを取るためや何かを学ぶために利用している言語は魅力にあふれています。言語の起源については広く議論されていますが、言語とは何かという基本的な前提によっても異なってしまうため、確固たる合意には至っていません。多くの学者が歴史・人類学・言語学的な観点から言語の研究を行っています。そして、さまざまな言語が世界で使われている現在、異なる言語を使用している人々に情報を届けるために、翻訳・ローカライズが不可欠となっているのです。

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