中国語翻訳の難しさ

13億人のネイティブスピーカーがいる中国語は、世界で最も話し手の多い言語です。また、学習するのが難しい言語ともされています。8万字もあるといわれる漢字も外国の人々にとっては大きな壁になるでしょう。また、時制や語句の関係性が読者の判断に委ねられることや、カタカナでは同じ表記になる言葉でも発音のトーンで意味が異なることなども、この言語を難しくしています。

中国語を翻訳する際には、以下のような点への留意が必要です。

多くの方言

公用語となっている北京語は、中国で使われる数多くの方言のひとつにすぎません。北京語(官話)の他に主なものでは、上海語(呉語)、広東語(粤語=えつご)、閩語(=びんご)などがあります。方言によって語彙やニュアンスが変わってくるため、どの地域の誰に向けた翻訳を行うのかをしっかりと把握した上で作業に臨むことが必要です。

四声:4つの発音トーン

中国語には4つの発音のトーン(声調)があり、これを四声といいます。アルファベットやカタカナで同じ表記になっても、声調によって意味が変わってきます。たとえばカタカナ表記では「マ(ー)」となる、媽(母)、馬、罵はそれぞれ違った声調となり、表記でも音声でも異なる意味になります。

中国語の表記

中国語では、左から右、右から左、上から下など文字の方向も場合によってまちまちです。ですから、英語など左から右にしか表記されない言語との間の翻訳では、デザイン面での工夫が必要になる場合もあります。また、文脈によって読み手に正確な内容を伝えるために、中国語ネイティブの翻訳者が翻訳を行うことも大切です。

故事成語

中国語では今なお多くの故事成語が使われます。漢字四文字で古典に登場する複雑な状況と教訓を簡潔に言い表す成語の数は5000以上に上るため、それを理解し、その文化的な文脈まで正確に伝えることが中国語翻訳者には求められます。

文の構造

中国語では、単文と複数の単文からなる複文と呼ばれる構造の文があります。主語、述語、目的語など構成される単文には、中国語特有の特徴もあります。たとえば、形容詞文に動詞は必要ではなく、主語と形容詞からなる形容詞述語文というものもあります。また複文にも様々な種類があり、どうした文型を取ればより自然になるのか、繊細な語感を持つ翻訳者が必要です。

文法体系

文法の違いにも注意が必要です。例えば、日本語では、目的語の位置が変わっても同じような意味合いを伝えることができますが、中国語では語順の違いで意味が大きく異なります。また、英語の前置詞にあたる介詞が多用されるなど、日本語にない概念もあります。

さらに動詞に時制がないことや、語句の関係性などが読み手に委ねられることなど、細やかな語感への配慮も必要です。

こうした様々な点を考えると、中国語の専門性がある翻訳会社や言語サービスプロバイダー(LSP)に依頼し、文化的なニュアンスを捉えた丁寧な翻訳を実践することが理想と言えるでしょう。

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