金融翻訳に求められること

変化が速く、世界中の人々の生活に影響を与える金融業界では、正確な情報を提供するために常時細心の注意が不可欠です。当然、翻訳においても、些細な誤りも許されません。わずかなミスでも事業者や個人が大きな損失を被る可能性があるからです。

金融翻訳の正確性を確保するためには、以下のような点への留意が必要です。

常に新しい専門用語を把握しておく

金融翻訳において最も重要なのは、業界特有の専門用語への理解や、ファイナンス・テクノロジー(フィンテック)と呼ばれる情報処理技術を用いた新たな金融サービスの発展に伴って生まれる最新用語を把握しておくことです。と同時に、フィンテックの進展状況に応じて新しい金融用語がすべての地域・言語に同じように浸透しているわけではないことも念頭に置いておかなければなりません。翻訳する言語によっては、該当する言葉の選択が難しい場合も出てきます。このような点も踏まえ、翻訳者には、ターゲット言語の読み手に誤解なく的確に情報が伝わるように、該当分野の専門知識が求められるのです。

金融制度が国によって異なることから、用語は一層複雑になります。そのため、会計処理や金融制度に精通した翻訳者でなければ、最適な言葉の選択が難しいのです。

複数の国で事業を展開するグローバル企業では、事業を展開するすべての国や地域における金融専門用語の対訳表が必要となります。金融翻訳を扱う翻訳サービスに作業を委託すれば、専門用語への対応も含めた質の高い翻訳により、さまざまな国での事業展開をサポートしてくれるでしょう。

地域に合わせた表記や経済情勢を反映させる

金融翻訳では、用語の的確さだけではなく、書式など細部についても地域に合わせることが求められます。数字や住所、日付、電話番号などが適切に書かれているかなどです。例えば、数字の区切り位置や小数点の書き方にも違いがあり、ヨーロッパのほとんどの国では小数点の区切りにコンマ「,」を使って表しますが、イギリスではドット「.」で表されます。翻訳する際には、こうした細かい部分にも配慮が必要です。

金融において、もうひとつ忘れてはならないのは為替レートです。為替レートは、それぞれの国の経済情勢によって大きく変動するため、翻訳者は常に最新の為替レートを把握しておく必要があります。

翻訳開始前に文書の分析を行う

翻訳者は、実際の翻訳作業に取りかかる前に、文章の内容を分析し、事前に問題に対処しておく必要があります。例えば、文脈を理解して文書のメッセージを正確に伝えるために事前リサーチが必要なこともあるでしょう。特に、世界的な金融機関やその他のグローバル企業の文書を翻訳する際にはよくあることです。文書の内容を事前に分析する時間を取ることが、結果的には翻訳作業の滞りを防ぐのにつながります。

対象国の法規制や会計基準に準拠する

金融業界は、国によって大きく異なる法規制や会計基準に従わなければなりません。ですから、これに関わる翻訳者にも、法規制、会計基準を熟知し、それに準拠した翻訳書類を作成することが求められます。例えば、米国で事業を展開したい企業は、米国証券取引委員会などの機関に書類を提出する必要があり、それには文書の翻訳(英訳)が必要となります。金融業界に精通しているだけでなく、該当事業分野に関する対象国の法規制、会計基準にも精通している翻訳会社に提出書類の翻訳を依頼することで、企業はスムーズに認可を受けられるようになります。

機密データを確実に保持する

金融翻訳を行う会社には、特に厳しい守秘義務が課せられます。データが漏洩した場合、費用のかかる訴訟となったり、多大な経済的損失を被ったりする可能性もあるため、企業は作業を委託する翻訳会社を慎重に選定する必要があります。高度な情報セキュリティシステムを持ち、機密保持で定評のある会社を選ぶことが重要なのです。

金融業界の成長に伴い、金融翻訳サービスを利用するグローバル企業が増えています。金融翻訳をミス無く正確に行うためには、金融業界に関する専門知識を有する専門スタッフを擁し、守秘義務に徹する翻訳会社または言語サービスプロバイダーを選択して下さい。

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