翻訳と言語に関する10のトリビア

9月30日が何の日か知っていますか?実は、9月30日はInternational Translation Dayで、「国際翻訳の日」「国際翻訳デー」などと訳されています。

国際翻訳家連盟が、聖書の原典をラテン語に翻訳した聖ヒエロニムスの命日にちなんで9月30日を翻訳の記念日と定めました。ヒエロニムスは、新約聖書のギリシャ語聖書をラテン語に翻訳し、またヘブライ語テキストの一部をギリシャ語に翻訳しました。翻訳者の守護聖人である聖ヒエロニムスは、世界のコミュニケーションを促進し人々を結びつける翻訳業界の象徴とも言えます。日本でも日本翻訳連盟がこの日を「翻訳の日」としています。

この他、翻訳や言語に関する10のトリビアをお届けします。

  1. 職業としての翻訳の始まりは、今から2,000年以上前に遡ります。紀元前3世紀半ばに旧約聖書がギリシャ語に翻訳されたのを皮切りに、翻訳という産業は発展を続けてきました。業界ニュースSlatorに掲載された推定によると、ローカライズ業界の市場規模は2021年末に262億ドルに達すると記されています。
  2. 科学に関する情報を広める上で、翻訳は非常に重要な役割を果たしてきました。例えば、18世紀の女性物理学者として知られるシャトレ侯爵夫人ガブリエル・エミリー・ル・トノリエ・ド・ブルトゥイユは、アイザック・ニュートンの万有引力の法則を初めてフランス語に翻訳し、同時代の人々に物理学の知識を広めました。
  3. 英語を母語とする人にとって習得するのが難しい言語のトップ6は、北京語、アラビア語、ポーランド語、ロシア語、トルコ語、デンマーク語だといわれています。北京語は世界で最も使用人口の多い言語ですが、音色(声調)の違いが非常に微妙であることに加えて、膨大な数の文字(漢字)が使われています。言語にはこうした困難さがあるため、これらの言語も含め、テキストの翻訳が必要なときには、専業とする翻訳会社に作業を依頼することが望ましいのです。
  4. ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)によると、世界で最も著書が翻訳されている作家のトップ3は、アガサ・クリスティー、ジュール・ヴェルヌ、ウィリアム・シェイクスピアです。こうした作家の著書はプロの翻訳者たちの仕事により、世界中の人々に親しまれています。
  5. 聖書は人類史上、最も多く翻訳されたテキストと言われています。ヘブライ語、アラム語、ギリシャ語で書かれた原文は、およそ611,000単語。聖書全巻が翻訳された言語の数は、2020年時点で704言語を越えており、新訳聖書だけ見れば1,551言語にも翻訳されています。
  6. 多くの言語に翻訳されるコンテンツと言えば真っ先に思い浮かぶのは書籍でしょう。しかし、多くの言語に翻訳されて歌われる楽曲もあります。インドのアーティスト、ケシラジュ・スリニヴァス(Kesiraju Srinivas)の「Golden Dreams of Gandhiji」という曲は、125の言語でレコーディングされています。
  7. 翻訳者が、文字を創り出すきっかけとなったこともありますが、そのことはあまり知られていません。イギリス人宣教師ジェームズ・エヴァンズ(James Evans)は、カナダ先住民の間で広く話されている言語を表記するために使用するクリー語の音節文字を考案しました。また、現在、セルビア語、ブルガリア語、ロシア語、他幾つかの言語の表記に使われているキリル文字は、9世紀にスラブ地方でキリスト教の布教を行った聖人キュリロスとメトディウスが編み出したものとされています。
  8. 動植物の種に絶滅の危機が迫るように、人間の言語の中にも消滅が危惧されるものがあります。世界の言語の約4割は、消滅の危機に瀕しており、その中には使用者が1,000人に満たない言語もあります。
  9. 少数言語の情報を公開しているEthnologueによると、世界には7,139の言語があるとされます。しかし、世界人口の半数以上が使用しているのは23言語。認定された翻訳会社や言語サービスプロバイダーであれば、話者の多寡にかかわらず、多くの言語ペアの翻訳作業をサポートできるでしょう。
  10. アメリカ合衆国には「公用語」がありません。最もよく話されている言語は米語(英語)ですが、公用語として規定されているわけではありません。アメリカで米語に次いで2番目に使われている言語はスペイン語です。
    翻訳には、非常に多くの要素が関わります。複数の言語で展開するプロジェクトを始めるならば、ぜひ実績のある翻訳会社・言語サービスプロバイダーを利用してください。

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