翻訳と通訳の違い
企業がグローバルに事業を展開するためには、翻訳・通訳サービスを通じて海外の顧客と正確にコミュニケーションをとることが必要です。
翻訳と通訳の違い
グローバルに展開する企業にとって、言語の異なる顧客やパートナーとのコミュニケーションは不可欠です。それを的確に行う上で役立つのが、翻訳、通訳サービスなどを提供する言語サービスプロバイダー(LSP)です。
翻訳と通訳には共通点もありますが、どちらのサービスを利用すべきかは、どのような場面のどのような目的のコミュニケーションなのかによって決まります。
翻訳とは
翻訳とは、一つの言語の文字情報の意味を正確に別の言語の文字情報へと置き換えるプロセスです。一般の人々の目に触れる文書から、臨床試験関連の高度に専門的な文書まで、多岐に渡るテキストが翻訳されますが、それを行う翻訳者には双方の言語の能力ととともに、取り扱う内容についての専門性や知識も求められます。
通訳とは
通訳とは、発話された内容やメッセージを同時あるいは逐次的に、別の言語に置き換えるプロセスです。話し手が話すのと同時に通訳を行う同時通訳や、話し手がいくつかのセンテンスを終えたところで通訳を行う逐次通訳などがあります。通訳者には、内容だけでなく、発話のトーン、語調を伝えることも求められます。遠隔地どうしのリモート通訳の場合などには、特に高度な技術が必要となります。
翻訳と通訳の主な違い
混同されがちな翻訳と通訳ですが、以下の通り、明確な違いがあります。
- 媒体と形式の違い。翻訳と通訳の最も明確な違いは、コミュニケーションのモードです。通訳とは発話された内容を訳することで、通訳者は口頭でのコミュニケーションを行います。プロの通訳サービスでは、対面や電話、ビデオなどでのコミュニケーションのサポートを行っています。通訳者は発話された内容を伝えますが、翻訳者は書かれた内容、文字情報を別の言語に置き換えます。書き言葉を別の言語に変換する翻訳者には、両言語の文法だけでなく、文化的背景への理解が求められます。
- 作業時間。通訳はリアルタイムで行われるため、話し手が発話するのとほぼ同じ時間で内容を別の言語にしていかなければなりません。ですから通訳者にはメッセージを理解し、滞りなく伝達するための準備が必要です。一方、翻訳では出来上がった原文を締め切りまでに訳していくため、翻訳者は資料を参照したり、CATツールを活用したりして必要なだけ作業に時間を掛けられます。しかし最近では、短時間での納品が求められるケースも増え、それぞれの翻訳ニーズに合わせた様々なサービスも生まれています。
- 正確さのレベル。いずれにおいても正確さは重要ですが、通訳ではスピードが必要なため、翻訳ほどの正確性は求められません。優秀な通訳者でも、早口で語り続ける人の話を完璧な精度で訳するのは困難なのです。翻訳の場合は時間を掛けて推敲できるため、アウトプットの精度を高められます。また、翻訳会社などでは、翻訳者個人の推敲に加え、品質管理システムを活用し、最終的な翻訳を高い品質にしていきます。
- 両言語に関する能力。複数人の会話を仲介する通訳者の場合、両方の言語での会話能力に長けている必要があります。一方、翻訳者には、ターゲット言語の表現の正確さ、自然さが重要なため、原語の読解力ととともに、ターゲット言語での高いライティング力、文才が必要とされます。
翻訳者と通訳者に求められるスキル
翻訳と通訳では、いずれも高度な言語スキルが必要ですが、それぞれ特に求められる能力があります。
翻訳者に求められる資質
- 双方の言語と文化への理解
- 句読点や文法のミスのない優れた文章力
- ターゲット言語でのネイティブレベル表現力とソース言語の高い読解力
- CATツールなどの最新技術の習得力
- その分野において正確で適切な翻訳ができるという分野専門性
通訳者に求められる資質
- 言葉の意味、話し手のトーンやボディランゲージまでを理解する高いリスニング能力
- 双方の言語の堪能さ、特定分野の専門用語の知識
- 言語の変換の素早さ
- リモート通訳に必要なツールの操作能力
- 短期記憶能力、情報を正確に言い換える力
国や地域を超えてビジネスが行われる中、翻訳者・通訳者が必要となる場面は少なくありません。そのようなケースでは、プロの通訳・翻訳サービスを利用することで最良の結果が得られるでしょう。