翻訳・ローカライズが必要な金融・財務関連の文書とは?
金融機関の利用者にとって、書類の内容に不明な点があってはなりません。金融関連の文書は母国語で書かれていても理解するのが困難な場合もあるぐらいですから、外国語で書かれていれば非常に難解になります。そのため、グローバルに展開する金融機関は、すべての顧客に響くよう、文書を各国語に翻訳・ローカライズする必要があります。
ここでは、そうした金融機関の顧客向け文書を含む、翻訳・ローカライズが必要な金融関連、財務関連の文書を取り上げます。
財務記録
世界各国に従業員や顧客を持つグローバル企業では、各種の記録を、事業を展開する国ごとに法律や規制にしたがってその国の言語で記録しておかなければなりません。
翻訳・ローカライズが必要な財務記録には、以下のようなものがあります。
- 四半期報告書と年次報告書 ほとんどのビジネス、特にグローバル企業では、四半期および年次ベースで、期末の業績を示す報告書の作成が求められます。報告書に機密情報が含まれる場合、文書のセキュリティを確保するために、翻訳会社との間で秘密保持契約が交わされます。
- 貸借対照表 特定の期間における企業の負債、資産、資本を把握するための資料である貸借対照表は、多くの場合、すべてのステークホルダーがビジネスの財務状況を確認できるよう、各国語に翻訳・ローカライズされます。
- 税務申告書と決算書 多国籍企業は、事業を行う国や地域の税法や規制を確実に守らなければなりません。税務書類は正確な翻訳とローカライズを行って現地の言語で提出する必要があります。
銀行の文書
世界中で多くの人々が国際的な銀行を利用しており、銀行で使われる様々な文書も翻訳・ローカライズの対象となっています。新規顧客開拓のためのものから、既存顧客を対象としたものまで、銀行は、取り扱うすべての金融商品やサービスに関する文書を翻訳し、各国の人々が利用できるようにします。
銀行が翻訳・ローカライズする文書には、以下のようなものがあります。
- 申請書やその他のフォーム 銀行口座の申込書や融資の書類などは、グローバル市場に向けたローカライズが必要です。フォームの内容を理解してもらえなければ新たな顧客獲得や商品の販売もできません。
- 口座情報、キャッシュフロー計算書 顧客が自分の口座を完全に理解できるように、すべての口座情報およびキャッシュフロー計算書も翻訳・ローカライズする必要があります。銀行は顧客の言語で口座明細について説明できるようにしておかなければなりません。
- プライバシーポリシー、セキュリティポリシー 銀行業務は機密性が高いため、プライバシーとセキュリティの方針について、顧客に信頼してもらうことが大切です。そのためプライバシーポリシー、セキュリティポリシーをすべて翻訳・ローカライズし、顧客がすぐに確認できるようにしておく必要があります。個人情報保護方針について不明な点がある銀行を顧客が敢えて利用することはないでしょう。
投資銀行の文書
世界で成長を続ける投資銀行では、文書の迅速で正確な翻訳・ローカライズが求められています。投資銀行の文書のうち、最も一般的なものを挙げてみましょう。
- M&A関連の書式 合併、買収、組織再編は、企業にとって一大事です。取引に関わる各担当者が、契約書にサインするには、すべての交渉文書、契約書、フォームをしっかりと理解している必要があります。また、デューデリジェンス情報も、M&Aにおいては重要であるため、誰もが理解できるようにしておく必要があります。金融・財務系の専門性を持つローカライズ会社であれば、M&Aに関するあらゆる文書に対応してくれるでしょう。
- コーポレートガバナンス 企業が顧客やステークホルダーに対してどのように接するかを示すコーポレートガバナンスも大切です。ガバナンスに関連する書類をローカライズすることで、すべてのステークホルダーに対して正しいメッセージを発信することができるのです。
- ピッチブック 投資銀行が、新規顧客開拓や商品販売のために活用するのがピッチブック(補足資料)です。投資銀行が新しい市場に参入する場合、ピッチブックを適切にローカライズすることで効果的な事業展開が可能になります。
保険文書
いまや保険は、世界中に広がる巨大な多国籍ビジネスです。この業界では、世界中の顧客の要求に応えるため、以下のような文書にはローカライズが不可欠です。
- 保険契約書 保険会社と顧客との間の出発点は、加入する保険の種類、保険料の支払額、保険料の支払方法と時期、顧客が受けられる給付金などの重要な情報を含む契約書です。保険金請求で、企業や個人が受け取る金額は莫大になる可能性もあるため、すべての関係者が理解できるように書類を作成することが重要です。
- 保険承認状 契約締結後に発行される保険承認状もローカライズしなければなりません。被保険者は、求められた際、その国の言語で承認状を提示する必要があるからです。
- 保険金請求書類と損害報告書 保険金請求が発生した場合、あるいは損害報告書を提出する必要がある場合、業務は可能な限り速やかに行わなければなりません。専門的な翻訳・ローカライズがそれを可能にします。適切にローカライズされた書類がなければ、一連のプロセスはより困難になります。
資産運用関係の分書
資産運用会社は、最新の口座情報を投資家の母国語で提供する必要があります。資産運用関連で翻訳・ローカライズされる文書には、以下のようなものがあります。
- パフォーマンスレポート 投資家に情報を提供するため、投資家の言語のパフォーマンスレポートを定期的に提供します。
- 資産運用方針 資産運用ビジネスでは、顧客に契約内容を十分理解してもらうため、資産運用方針を翻訳して提供します。運用方針に関わる文書では正確さが非常に大切なため、翻訳後に入念な校正・校閲を行う翻訳・ローカライズ会社が利用されています。
- 要約目論見書 投資信託などの投資を行ったことがある方ならおなじみの目論見書には、投資の目的、リスク、過去の実績、費用などの重要なデータが含まれます。資産運用会社は、顧客の言語で書かれた、理解しやすい目論見書を作成する必要があるのです。
金融業界は細分化された非常に複雑な分野なので、一口に金融系の翻訳・ローカライズといっても、銀行取引明細書から資産管理ポートフォリオまで、対象となる文書は多岐に渡ります。金融関連の文書の翻訳・ローカライズを外注する際には、翻訳会社が金融の中でも特にその分野における実績を持っていること、そして内容についての機密保持を保証できることが重要です。