書籍翻訳:世界中の読者の新しい扉を開く

様々な電子メディアが目覚ましく発展を遂げる中、書籍という媒体は少し時代から取り残された感じがあります。

しかし、書籍を多言語に翻訳することにより、より多くの人々に届けることができます。一般的な文書などの直接的な翻訳に比べて、よりクリエイティブな作業である書籍翻訳について、詳しくみていきましょう。

書籍の翻訳とマーケティングについて知っておくべきこと

書籍翻訳は、コンテンツをより多くの人に届け、収益を上げる最良の方法のひとつです。しかし、書籍の翻訳は簡単ではありません。Google翻訳だけで済ませる訳にはいかないのです。機械翻訳を活用しても、その後、人の手を加えなければベストセラーにはならないでしょう。書籍の翻訳サービスを利用する際の参考に、まずは翻訳とマーケティングの工程をみていきましょう。

翻訳プロセス

以下は翻訳を外注する際の手順です。翻訳者・翻訳会社の選任

  • 翻訳者・翻訳会社の選任
  • 料金の交渉
  • 原文と参考文献を翻訳者へ提供
  • 翻訳の正確さと品質の確認

長さや内容の複雑さにもよりますが、1冊の本を翻訳・出版するにはか数か月かかることを想定しておきましょう。実績のある書籍翻訳サービスに依頼するのがよいでしょう。

校正・校閲

翻訳が完了したら、正確で読みやすい文章にするため、ターゲット言語のネイティブスピーカーによる校正と校閲を行います。書籍翻訳の専門会社に、この工程のみを依頼する場合もあります。

装丁

書籍の装丁や装本は、ターゲット市場の文化や流行に合わせて原語版とは異なるデザインにした方がよい場合もあります。

マーケティング

販路や、プロモーション・広報の方法を決め、読者層にリーチするマーケティング戦略を策定します。

書評と推薦文

影響力のある人や媒体の書評や推薦文は、その本の信頼性や関心を高めます。

ブックフェア/イベント

現地で開催されるブックフェアやイベントに参加することも、本の宣伝や、潜在的な読者やビジネスパートナーとの関係構築につながります。ブックフェアへの登録・出展は、有効なマーケティング手法のひとつなのです。

価格設定

書籍の価格は、現地の市場や為替レートを鑑みて調整します。翻訳や製本、流通に掛かるコストだけでなく、現地における類書の価格も考慮します。

ソーシャルメディア・マーケティング

Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSは、何十億人もの人々が利用しているため、こうしたソーシャルメディアプラットフォームの利用は非常に大きな効果をもたらします。

ソーシャルメディアを書籍のマーケティングツールとして活用する利点のひとつは、著者が国内外の読者と直接的なつながれることです。最新情報を投稿し、考えを共有し、コメントやメッセージに応答することで、自分の作品に関心を持つ読者のコミュニティを構築できるのです。

書籍を翻訳するメリット

ここで、書籍を翻訳するということのメリットを押さえておきましょう。

  •  市場の拡大: 翻訳により、より多くの潜在読者層にリーチでき、売上や収益の増加も見込めるようになります。
  • 文化交流: 翻訳により、異なる文化や伝統、考え方についての発信ができます。教材として利用してもらうことで言語や文化の理解も深めてもらえます。
  • 文化の保護: 文化、特に存続の危ぶまれる文化への関心を喚起し、その保護につながります。
  • 思考の多様性: 翻訳書は、読者に新たなものの見方や、知識、視点を提供します。
  • 著者の評価向上: 国外の読者や批評家の評価を得ることで、逆輸入的に国内での著者の評価は高まります。

書籍を翻訳する際の留意点

書籍の翻訳には以下のような手順があります。

翻訳者の選定

自著を外国語で出版しようとする場合、自力でその分野とターゲット言語を専門とする書籍翻訳者を調べて連絡を取るというのも一つの方法です。アメリカ翻訳者協会や国際翻訳者連盟など、翻訳者の組織を探すのもよいでしょう。

条件の交渉

翻訳者との間で、仕事の範囲、納期、支払いスケジュールなど、諸条件について、細かく交渉し取り決めを交わすことが重要です。

参考資料の提供

翻訳者に文脈を理解してもらい希望するスタイルで翻訳してもらうため、原稿に加え関連の参考資料や、場合によっては用語集やスタイルガイドなどを提供するとよいでしょう。

翻訳のチェック

翻訳の正確さや訳語・フレーズの一貫性など、翻訳文の品質チェックも重要です。品質管理を高い精度で行うため、複数のチェッカーや校閲者が校正作業に関わるのが理想です。

一部の翻訳本が好成績を収める理由

外国で多くの読者を獲得する上で、大切なのは本国での評価で、それは海外にまで伝わります。他の国で評判の書籍の翻訳本が出版されると、評判が評判を呼ぶこととなります。また、普遍的なテーマを扱う書籍の場合は、海外の人々に受け入れられやすいでしょう。原語のニュアンスやトーンを感じさせる翻訳書は、異文化に関心を持つ層に支持されるでしょう。

ある調査では、中国人の70%、アメリカ人の約55%が、それぞれ1週間に1回以上に本を読むと回答しています。読者人口の多い国が必ずしも翻訳書の受け入れられる国とは限りませんが、習慣的に読書する人の方が、海外の書籍への抵抗感も少ないでしょう。例えばイギリスではトップセラーの25%が翻訳本であるという調査結果もあります。

『星の王子さま』や『ドラゴン・タトゥーの女』など、国際的なベストセラーとなった書籍は枚挙に暇がありません。村上春樹、パウロ・コエーリョ、J.K.ローリングなど、著者名だけで、世界中で売れる現役作家もいます。

書籍の言語

世界で出版される書籍で刊行点数が多いのは英語の書籍ですが、それ以外に多いのは以下のような言語の書籍です。

  • 北京語
  • スペイン語
  • アラビア語
  • フランス語
  • ロシア語

世界で人気のジャンル

ロマンス

ロマンスは、アメリカ、ヨーロッパ、南米で人気のジャンルです。主に女性の読者が多く、多くのロマンス小説では異性間の恋愛が描かれます。

スリラー/ミステリー

スリラーやミステリー小説は、北米やヨーロッパを中心に世界的に人気があります。サスペンスや意表を突く展開を好む読者に人気があります。近年では『ダ・ヴィンチ・コード』や『ゴーン・ガール』『ドラゴン・タトゥーの女』などは、全世界で驚異的な売り上げを記録しました。

自己啓発

自己啓発書は世界中で人気がありますが、近年では内面性や健康への関心の強まりもあり、人気はさらに高まっています。キャリア開発、人間関係、精神的な健康などに関する指針を示す書籍は世界で受け入れられるのです。古典的なタイトルでは、『積極的考え方の力』、『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』、『思考は現実化する』、『人を動かす』などがあります。

宗教・スピリチュアル

精神的な指針を求める読者に対して、導きやインスピレーション、慰めを与えてくれる書籍は、さまざまな地域の読者に支持されます。日常生活において宗教が重要な位置づけである地域では特に人気があります。

まとめ

自分の著書を外国語へ翻訳するというと、ハードルが高く感じられるかもしれません。文化の違い、作業にかかる時間とコスト、権利関係など、乗り越えるべき課題は数多くあります。しかし、そうした問題を、共に解決してくれる書籍翻訳サービスを利用すれば、世界に向けたメッセージの発信もさほど難しくないかもしれません。

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