動画の翻訳・ローカライズの費用
動画の翻訳・ローカライズのさまざまなメリットを踏まえて、事業展開のために動画をローカライズすると決め、ターゲット地域を絞り込んだら、次は、どのようなアプローチで動画をローカライズすべきか、最善の方法を検討します。
そこで浮上してくるのがコストの問題です。動画の翻訳・ローカライズには、どれぐらいの費用がかかるのでしょうか。コストを左右する要因には以下が挙げられます。
動画の長さ
動画のローカライズでは、価格を決める大きな要因の一つが動画尺(長さ)です。一般的には、動画の長さによって料金が設定されています。尺の長さは、会話やナレーションが収録されている部分だけでなく、音楽や他の要素をすべて含めた長さとなります。
言語によっては、ローカライズされた動画が元の動画より短くなったり長くなったりすることもあります。動画のローカライズを専門に行う会社が、オリジナル言語とターゲット言語、両方の言語のローカライズ経験に基づいて、適切な長さに調整することもあるのです。
単語数
動画内の会話、ナレーション、さらに画面に表示されるテキストの総数も翻訳コストに影響します。動画からテキストを書き起こした時点で翻訳対象となるテキストの総量が分かるので、原文の文字数・単語数によって翻訳料金が決まるのであれば、この時点で翻訳の料金は算出できます。
一方で、翻訳後のターゲット言語の文字数・単語数によって料金が算出されることもありますが、この場合、言語の組み合わせによって、実際の文字数・単語数が増減するため、見積は概算となります。
幸い、以下のような技術を用いて動画翻訳にかかる時間やコストが抑えられるようになってきています。
- 自動音声認識(ASR):音声を自動で認識してテキストに変換します。大量のコンテンツを書き起こす場合に、特に有効なツールです。
- 機械翻訳:コンピュータのプログラムを使ってオリジナル言語からターゲット言語への翻訳を行います。機械翻訳は短時間で大量の翻訳が可能なので、翻訳に要する時間を大幅に短縮し、コストを抑えることができます。
- コンピュータ翻訳支援(CAT)ツール:CATツールは、原文を小さなセグメントに分割し、繰り返される単語やフレーズを探し出し、適合する訳語を表示します。これにより翻訳プロセスを効率化します。
- 翻訳管理システム:原文と訳文をデータベース化し、翻訳の再利用を可能にします。ウェブサイトのように更新や追記が発生する場合には、一から翻訳を行うのではなく、システム内の翻訳テキストを再利用することで必要な作業を軽減することができます。
- 字幕:映像の中の発話またはナレーションを翻訳し、文字情報として画面上に表示するものです。文字起こしや翻訳などの作業のみで、声優やナレーターを起用してスタジオ収録する必要がないため、ボイスオーバーや吹き替えより費用は抑えられます。
- ボイスオーバー: ナレーターや声優がターゲット言語に翻訳された台本を読み上げ、オリジナルの音にかぶせて録音するものです。ナレーターや声優の人件費やスタジオ収録の費用などがコストに影響します。
- 吹き替え:オリジナルの動画に、ターゲット言語でオリジナル言語と同じタイミングで音声を録音していくものです。特に映画などの場合に用いられるリップシンクと呼ばれる吹き替え(画面上の人物の口の動きに合わせた吹き替え)などは、より高度な技術が必要とされ、字幕やボイスオーバーより作業時間も費用もかかります。
字幕、ナレーション、吹き替え
字幕、ナレーション(ボイスオーバー)、吹き替えは、いずれもオリジナル言語とは別の言語を利用している視聴者に動画の内容を理解してもらうために制作するものです。ローカライズの中でも最も重要な要素であるため、コストも踏まえつつ、どの方法を用いるかを決め、映像翻訳・映像ローカライズを専門に行う翻訳会社や言語サービスプロバイダ(LSP)に委託して、質の高い動画に仕上げましょう。
字幕、ボイスオーバー、吹き替えの違いは以下の通りです。
対象言語による価格の違い
対象となる言語の組み合わせも料金に影響します。特にオリジナル言語かターゲット言語のいずれか一方、もしくは両方が希少言語である場合には、翻訳者自体の数が少なく、料金が高くなる傾向があるので、注意が必要です。また、翻訳者の居住国によって翻訳料金が変わることもあります。
プロジェクト管理費
動画の翻訳・ローカライズを扱う翻訳会社・LSPに作業を委託する利点の1つは、プロジェクトマネージャーをはじめとした専門のスタッフがいることです。プロジェクトマネージャーは、依頼者と調整しつつ、ローカライズプロジェクトが滞りなく進行されるようにあらゆる側面を管理していきます。プロジェクトマネージャーを立てることで余計なコストがかかると思われるかもしれませんが、翻訳・ローカライズを効率的に進めるためには欠かせない重要な役割を担っています。
品質保証
翻訳・ローカライズには、多くの作業工程があり、それらを継ぎ合わせた際に見落としや、矛盾が出てくることがあります。最終工程の品質チェックを経て、ようやく動画のローカライズが完全に成功したと言えます。
品質管理チームが、あらゆる観点から動画の仕上がりを確認します。文化的な配慮がなされているか、翻訳が正確か、話し方が不自然ではないか、ターゲット市場で受け入れられるかなどに重点を置いたチェックがなされます。
新規市場に動画をリリースする場合、適切なローカライズを行うことにより、単なる文字や音声の置き換えにとどまらず、ターゲット市場の需要や文化的背景にも合致した効果的な発信ができます。まずは、動画の翻訳・ローカライズの実績を持つ翻訳会社・LSPに必要な費用を問い合わせてみましょう。