世界のゲーム市場2025年予測とゲーム翻訳

世界のゲーム市場は成長著しく、2025 年までに2,250億USドルの市場になると予測されています(世界の市場調査を行っているStatistaによる分析)。本ブログではゲームローカライズの方法や費用、市場状況などをお伝えします。ゲーム会社がこの潮流に乗るための鍵となるのが、自社製品の海外市場向けのローカライズです。ゲームのローカライズに必要なコストは多岐にわたり、高額となることも多いため、ローカライズを成功させるためには、予算に応じて最もふさわしい手法を検討することが重要です。今回は、ゲームのローカライズの中でも翻訳部分の方法とコスト、さらにゲームローカライズ市場の概要についてお伝えします。

ゲーム翻訳の方法とコスト

ゲームのローカライズを行う際の翻訳作業には、主に4つの方法があります。費用は、誰に依頼するか、プロジェクトの規模、言語の組み合わせなど、さまざまな要因によって変わってきます。どのような方法で、どのようなゲーム翻訳を行うかが、ローカライズの成否を左右するため、慎重な検討が必要です。

ゲーム翻訳の方法

 無料のアプリを利用して翻訳する

ゲームにGoogle翻訳など無料で利用可能なアプリをプラグインしてテキストを翻訳させることで、コストをかけずにローカライズする方法もあります。しかし文脈を無視した翻訳になるなど、品質面からすると、理想的な方法ではありません。ゲーム用語を複数の言語にローカライズするオープンソースのスプレッドシートも存在しますが、無料のソースは、機能に限りがあるため、翻訳会社や言語サービスプロバイダー(LSP)に作業依頼する下準備として利用できる程度のものと考えておいた方が良いでしょう。

クラウドソーシング経由のファンに翻訳を依頼する

さまざまな言語に幅広いファンがいるゲームであれば、彼らの力を借りてコストを抑えたローカライズが実現できる可能性もあります。クラウドソーシング経由でゲームの翻訳を手伝ってくれるユーザーを募ってチームを作り、ゲームの翻訳作業を依頼するのです。ただし、機会翻訳同様に必ずしも正確な翻訳にはならない、ということは念頭に置いておくべきです。

フリーランスのゲーム翻訳者に依頼する

ゲームのローカライズに限らず、あらゆる翻訳ジャンルでフリーランスの翻訳者が活躍しています。そうしたフリーランス翻訳者に依頼する場合、翻訳会社やLSPに依頼するよりもコストは安くなるでしょう。しかし、翻訳以外のローカライズのすべての作業に対応できるか、品質の保証をしてくれるのかなどを、これまでの実績や所有する資格などと併せて確認しておく必要があります。

ゲームのローカライズを専門的に行う翻訳会社・言語サービスプロバイダー(LSP)に依頼する

ゲームのローカライズに特化したサービスを提供する翻訳会社やLSPにローカライズサービスを依頼すれば、正確で質の高い作業が期待できます。コストがかかると思われるかもしれませんが、予算内でどのようなサービスが利用できるか確認してから依頼することも可能です。ここで大切なのは、ゲームのローカライズに特化したサービスを提供している会社を選ぶことです。

コスト以上の効果

コストを抑えた方法でゲームの翻訳・ローカライズが上手くいくのであれば、それでも良いでしょう。しかし、費用を削って品質を落としてしまうのでは本末転倒です。必要なところに必要な経費を使い、質の良い翻訳・ローカライズを行うことで、より多くの売上を生み出し、結果として利益につながることでしょう。

費用対効果の高い翻訳・ローカライズで得られるメリット

  • 飛躍的な売上増。新規市場への参入でゲームの売上は飛躍的に伸びます。
  • 争力の獲得。ゲームをローカライズする会社として競合他社に対する強み、競争力を獲得することができます。
  • ダウンロード数の増加。売上増に伴い、ゲームの人気も高まり、ダウンロード数も増加することでしょう。
  • アプリストアでの上位ランク獲得。アプリストアの上位にランクされればユーザーの目に止まる機会も増え、さらなる売上につながります。
  • ユーザーの満足度向上。ユーザーがゲームをより深く理解し、共感を得られれば顧客満足度も高くなります。

ゲームのローカライズに必要な作業は、テキストの翻訳に限りません。翻訳から販売までの流れの中で必要な費用を算出し、何を内部で対応し、何を外部に依頼する必要があるのかを見極めることが大切です。

世界のゲーム市場の概要

ゲーム市場は世界的に急成長を続けています。Statistaの分析によれば、世界のゲーム市場は上位から 中国、米国、日本、韓国、英国、インド、フランス、ロシア、ドイツ、メキシコとなっています。

具体的な数値からも今後の可能性が見えてきます。

2021年はCOVID-19による引きこもり需要が続いたことの影響もあり、デジタルゲーム収益が世界的に増加しました。2021年の市場規模としては、中国がトップにあり、収益は493億ドルと推定されています。2025年には712億ドルに増加すると予測されており、この数は同年の収益が425億ドルになると予測される米国(現在、中国に続く2位の304億ドル)を大きく上回っています。今後も引き続き大きな成長が見込まれています。

日本の市場規模は現在3位(182億ドル)ですが著しい増加を示しており、2025年には240億ドルを超えると予測されています。

statistaの分析では、2021年のゲーム収益は約1,553億USドルに達すると予想されています。収益の年間成長率は9.72%(CAGR2021-2025)と推定されており、2025年までに2,250億USドルの市場に成長すると予測しています。2021年、アジア全体には約14億8,000万人のゲーマーが存在し、世界最大のゲーム市場となっていますが、引き続き世界で最大の市場で有り続けると見込まれています。

ゲームローカライズの成功例

WinZO:インドからの進出

インドが世界のゲーム市場の6位となり、デリーに拠点を置くゲーム会社WinZOは瞬く間に注目を浴びるようになりました。WinZOは、人気のゲームを10以上の言語のユーザーが共に楽しむことができるゲーム・エンターテイメントプラットフォームを提供しています。WinZOの特徴のひとつが、プレイヤー同士の交流や対戦によるコミュニティの構築です。また、ユーザーの好みに応じたカスタマイズも可能です。
WinZOの成長は、ゲーム業界におけるローカライズの重要性とともに、ローカライズによって大きな成功を掴めることが可能であることを示しています。

任天堂「あつまれ どうぶつの森」:新たな使われ方

2020年3月に発売されたNintendo Switch「あつまれ どうぶつの森」は日本で歴史的な売り上げを記録しただけでなく、国外でも「Animal Crossing: New Horizons」の名前で人気を博しました。英語以外にも、フランス語、スペイン語を含む9言語で展開しているので、このソフトの言語を切り替えて言語学習に使うという人もいるようです。2020年の米大統領選挙では、民主党が選挙キャンペーンの一環として、どうぶつの森の中にバイデン氏・ハリス氏の島を作って有権者が応援に島を訪問できるようにしたという新しい試みも話題になりました。

ゲーム市場は急速なスピードで拡大を続けており、中国や米国、日本以外の国の市場の拡大も目立ってきています。そのため、日本のゲーム会社も含め、世界のゲーム会社の多くは海外展開を前提に戦略を練ることが成長の鍵となっています。しかし、自国で成功したものをそのまま海外市場にリリースするという訳にはいきません。ゲームのローカライズと一言で言っても、ゲームのセリフ、キャラクター名やアイテム名、さらにマニュアルも現地の言語に翻訳する必要があり、先に述べたように翻訳アプリを利用することも一案ですが、ゲームの世界観を損なわずに現地の言語や文化、法的処置も含めてゲーム翻訳を行うには、ネイティブ翻訳者あるいは翻訳会社・LSPに作業を依頼することをお勧めします。

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