ローカライズで観光産業の巨大市場に切り込む

毎年10億人を超える人が旅行を楽しむ昨今、旅行および関連するサービス業は急成長しています。国連世界観光機関(UNWTO)は、2020年までに世界の観光客数は約14億人に増加すると予測していますが、日本も東京オリンピック開催年となる2020年の訪日外国人旅行客数の集客目標を4000万人と設定しています。各国がビザ要件の緩和、最先端技術を活用した出入国審査の実現などの戦略を駆使して観光業を盛り上げているのが現状です。そして観光客の集客には制度的な対応だけでなく、官民ともに多言語による情報やサービスの提供も不可欠です。旅行会社や関連するサービスを提供する企業の中には、パンフレットなどの観光プロモーションコンテンツの ローカライズ を通して市場に参入し、事業を拡大する企業も増えています。

今や、多くの人が航空券や宿泊予約をオンラインで行っており、観光業界の成長は、デジタルデバイスとインターネットの普及により加速したとも言えるでしょう。インターネット上の情報やオンラインで提供するサービスを拡充することがビジネスに大きく影響するのです。

多言語ウェブサイトの構築

旅行および関連サービス業で成功するための最も重要な要素の1つは、ウェブサイトのコンテンツを多言語で読めるようにして、より多くの旅行者/ユーザーを取り込むことです。インターネットが普及した現在、ウェブサイトは世界中で利用される情報源であり、分野に限らずコンテンツのローカライズなしに新しいユーザーを引き込むことは難しくなっています。閲覧者の72%が母国語で情報が得られることを好む傾向があると言われていることを踏まえれば、観光業においてもウェブサイトをローカライズすることでビジネスを拡大できるチャンスは見逃せません。

モバイルアプリのローカライズでさらなる顧客獲得を

スマートフォンなどのモバイルツールの使用が増加しており、90%のアクティビティは閲覧ソフト(ブラウザ)ではなくアプリ上で行われているとされます。しかも旅行者は移動しているわけですから、必然的にモバイルアプリの利用度が高くなります。ユーザーが旅行会社のモバイルアプリでホテル、航空券、交通機関などの予約をしてもしなくても、アプリをローカライズした後にはダウンロード数が128%増加すると見込まれています。ユーザーが旅行のためのアプリを探すとき、自分の言語で表示されているだけでなく、文化的要素も考慮したアプリを選ぶことでしょう。モバイルアプリをローカライズすることは、旅行および関連サービス業にとって大きな価値のあることなのです。

マーケティングキャンペーンを成功させるために

他の多くの業界と同様、旅行および関連サービス業界もユーザーを増やすためにはマーケティングが欠かせません。マーケティングで効果を出すためには、企業側が発したメッセージに対し、ユーザーが言語的および文化的に親しみを感じることが大切です。キャンペーンを企画し、その内容をローカライズする場合、ターゲット地域に適した内容となっているかを理解しておく必要があります。ターゲット市場を調査し、新規に進出する地域であれば専門知識を持つ言語サービスプロバイダーの支援を求めることにより、ローカライズを成功させ、該当市場での存在感を示すことができるでしょう。ユーザーは、個人であれ法人であれ、時間とお金を費やしている場合にはとくに、商品やサービスが信頼できるものであるとの安心感を求めます。コミュニケーションで現地的な言葉遣い、言い回しや表現、文化的な好みを的確に使い分けることが、ユーザーの満足度を高め、効果的なマーケティングを成功させることに繋がります。

マルチメディアコンテンツを利用したメッセージ配信

インターネットトラフィック(インターネットを介して送受信される情報)の69%が動画によるものであることを踏まえれば、旅行関連の情報共有に音声と動画を使うことは有効です。マルチメディアでメッセージを発信すれば、それを観た人たちに商品やサービスを印象付けすることができるので、大きな影響を与えられる可能性があります。ただし、音声や動画といったマルチメディアであっても、ターゲット言語への正確な翻訳、メッセージの伝え方、視聴者に受け入れられる音のトーンなどに配慮することは必要です。

ローカライズの成功事例:Airbnb

国際的にビジネスを展開している旅行・関連サービス事業者として最も有名なブランドの1つに「Airbnb」があります。Airbnbは、宿泊施設を探している旅行者と、宿泊施設などを貸し出しす人をつなぐマッチングサイトです。Airbnbは、ウェブサイトをローカライズし、驚異的な成長を達成しました。世界191ヶ国で600万件に及ぶ宿泊先が登録されており、各地で新しい旅のカタチを提供しています。同社は次の点に注力してローカライズを行いました。

  • 言語の翻訳には十分注意する
  • サービスを提供する地域に準じた支払い方法を設定する
  • 地域に関するデータを掘り下げて調査する
  • 登録プロセスをローカライズする

Airbnbは、グローバル化を視野に入れつつローカライズの課題に取り組み、ウェブサイトおよびアプリをローカライズすることでどれほどビジネスを拡大できるかを示す好例となりました。

世界の観光産業は成長し続けており、2025年までには11,382億USドルに達すると予想されています。ますますローカライズの需要は増えそうです。

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