機械翻訳とポストエディットによる翻訳
機械翻訳の精度が上がっていくにしたがって、機械翻訳の市場は急拡大しています。スマートフォンで手軽に翻訳したい人から、国際的に市場拡大する企業まで、機械翻訳の必要性は急激に高まっています。しかし、機械翻訳の精度が上がったとは言え、それぞれの言語独特の表現に対応するには至っていません。そこで、機械の速度と人間による作業を組み合わせ、優れた成果が得られる機械翻訳ポストエディット(MTPE)の出番です。MTPEを使って高品質の翻訳を完成させるために、次のステップに従って作業を進めましょう。
ミスのない原文
完成後の翻訳文に間違いがある場合、機械翻訳に一因がある場合もありますが、実は、原文に間違いがあることが多いのです。元の文章が文法的に間違っていると、必然的に機械も正しく翻訳できません。そのため、翻訳プロセスを開始する前に、まず原文を確認して間違いのない文章にすることが重要です。
たとえば、学術論文の場合、翻訳を依頼する前にその分野の専門家と校正者の両方に原文を注意深く読んでもらい、必要に応じて修正しておきます。内容の良し悪しについての判断は簡単にできるかもしれませんが、間違いが見落とされていたり、内容が古かったりする可能性もあります。句読点など基本的なミスから新たな研究の進捗まで、翻訳前に確認を行なうことをおすすめします。
さらに、ターゲット言語でどのように表現されるかも予想した文章にすると良いでしょう。文化的側面に配慮が必要と思われる部分は、原文の編集中に修正しておきましょう。もちろん、プロのMTPEサービス会社はこのような問題を発見してくれますが、事前に解決しておくことで時間と費用の節約になります。
また、原文をチェックするときは、用語と書式設定に注意し、文書全体で統一されていることを確認します。あまりに長い文章や複雑な表現も適切に翻訳されないことがあるので注意が必要です。
用語管理
略語や頭字語は、特に機械翻訳の場合、訳出が困難です。会社名や製品名について、大文字と小文字が区別される場合などは正しく翻訳されないことがあります。そのため、用語集管理ツールなどを使えば、特別な用語は整理され、その用語の使用に関するパラメーターを設定することもできます。
管理ツールを使うことで、正しい用語が使われるようになり、元言語の用語をそのまま採用する場合も、翻訳者にその旨を知らせて表現を統一してくれます。
翻訳管理システム
大規模な翻訳プロジェクトの場合、必ず翻訳管理システム(TMS)を活用します。TMSは、手作業の個所を減らすことで余分なタスクを削減し、複雑な翻訳をより管理しやすくしてくれます。さらに、作業の進捗について、個々の責任者だけでなくすべてのチームメンバーにシェアできるようになっており、プロジェクト管理に役立ちます。プロジェクトをサポートできる翻訳管理システムがついている自動翻訳サービスを選ぶようにしてください。
品質を保証する翻訳記憶システム
機械翻訳の精度を担保するもう一つのツールは、過去に翻訳されたフレーズや文章のデータベースを構築する翻訳記憶システムです。記憶システムは、専門的な用語を含む医療文書や技術文書を翻訳する場合は特に重要です。用語選択、大文字小文字、スペースなど要件を一つ一つ記憶していきます。これにより、編集箇所も減り、翻訳プロセス全体が合理化されます。翻訳記憶システムは翻訳の好みを記憶してくれるため、出力される翻訳文に一貫性があり、ポストエディットも楽になります。このツールは、プロセス全体で翻訳された用語を自動的に記録していくため、複数の翻訳者たちで共同作業する場合などに役立ちます。
重要業績評価指標(KPI)
AI機械翻訳の品質を測るための手段として重要業績評価指標(KPI)が有効です。KPIを設定する際、翻訳プロジェクトの精度を判断する基準を定義します。翻訳する文書の種類によっては、より厳しい評価基準の設定が必要になることもあります。例えば、法律文書の翻訳では、法律の専門用語が使用されているため、絶対的な正確さが求められます。特に作業の大部分をAI自動翻訳に依存する場合は、パフォーマンス目標を厳格に達成する必要があります。
編集ガイドラインの設定
チームとして複数人がプロジェクトを担当するので、内容についての明確なガイドラインを作る必要があります。これにより、機械翻訳後の校正段階での混乱を回避できます。たとえば、語調やフォーマルさ(丁寧語や敬語など)の度合いなどをガイドラインに記載し、目標とするテイストのあいまいさを極力無くすことで、翻訳プロセスはより効率的になります。
適切な機械翻訳サービスとの提携
機械による翻訳文書は人間の翻訳者に引き継がれ、ターゲット言語の文法および文化的側面も適切に反映されるように適宜修正されます。ターゲット言語のネイティブスピーカーである言語専門家が携わる機械翻訳サイトと提携することで、翻訳者がコンテンツを正確に校正し、どう修正すれば共感を得られるかなどを含め、調整を加えます。
さらに、機械翻訳サービスは、依頼する分野の専門家である翻訳者と提携しているかを確認しましょう。金融業界のeラーニングコースを翻訳することと、臨床研究を翻訳する作業は全く相異なります。翻訳者はその話題についての概念と用語を完全に理解していなければなりません。
ポストエディットの重要性
どんなに精度が高い機械翻訳でも誤訳は起こるので、ポストエディットを必ず行うようにしてください。どの程度しっかりポストエディットするかの程度によらず、人間の目を通しておけば、文書が公開されてからの誤訳の発見は避けることができるでしょう。
翻訳を依頼する内容を生み出すために試行錯誤した努力を思うと、翻訳ももちろん仕上がりの品質にこだわりたいですね。精度の高い正確な翻訳を達成するためには、優れた機械翻訳ツールとポストエディットオプションが含まれるMTPEサービスを選ぶことをおすすめします。