イタリア向け製品のラベルは、イタリア語に翻訳する必要があります

イタリア消費者法第9条は、製品ラベルにあるすべての情報をイタリア語に翻訳するよう求めています。つまり、イタリアで販売する製品には、イタリア語で説明・注意・原材料を記したラベルを貼らなくてはいけません。

製品ラベルの情報は、正確・明瞭で、イタリアの消費者に理解しやすいものであることが必要です。この規制は、食品・化粧品・電子機器・家庭用品など、あらゆる種類の製品に適用されます。

この規制に従わない場合、罰金や法的措置が取られる可能性があります。

消費者の保護に言語が果たす役割

イタリアで製品ラベルの翻訳が義務づけられているのは、消費者を保護し、その権利を尊重する取り組みの一環です。購入する製品に関する充分な情報に基づいて消費者が判断できるようにする上で、言語は重要な役割を果たしています。

イタリア語に製品ラベルを翻訳することで、消費者は提供される情報を充分に理解することができ、自分自身や家族にとってより安全な選択をすることができます。また、翻訳によって、企業と消費者間の透明性を高め、市場における信頼を築くことができます。

さらに、翻訳は、様々な国や地域間の文化の違いに橋を架けるのに役立ちます。国際的な企業と地域社会の間の相互理解も、翻訳によって深まります。これらは、消費者に利益をもたらすだけでなく、世界経済の成長と発展にも貢献します。

法律の紹介 – 法令第206号 (2005年)

イタリアの法令第206号 (2005年) は、「消費者法」とも呼ばれ、消費者の権利と企業の義務の概要を定めた基本的な法律です。この法律は、消費者と企業が規制を理解し遵守する助けになるよう、様々な消費者保護法をひとつの包括的な文書にまとめたものです。

この法律の第9条は、特に製品ラベルの翻訳に言及しています。イタリア国内で販売されるすべての製品には、消費者にとって明確で理解しやすいイタリア語の情報が記載されている必要があります。文章だけでなく、ラベルで使われる絵や記号も、この条件を満たさなくてはいけません。

同法第9条は、第6条と密接に関連しています。第6条は、イタリア国内で販売される消費者製品のラベルに記載しなければならない必須事項 (たとえば、製品の品質や特徴に関連する原材料や製造方法など) を規定しています。

イタリア消費者法が言語について求めるもの

  1. 消費者や利用者向けの情報は、少なくともイタリア語で提供する必要があります。
  2. 情報を複数の言語で記載する場合も、イタリア語が必要です。イタリア語の文章は、他の言語の文章と同様に見やすく読みやすい文字で記載しなくてはいけません。
  3. 一般的な表現であれば、イタリア語以外でも認められます。

関連する施行規則は、第6条が求める情報をイタリア語以外で記載することが許される場合について定めています。

契約条件が書面で消費者に提供される場合、その条件は必ず、平易でわかりやすい言葉で書かれていなければなりません。

2024年5月29日、イタリアの裁判所は、イタリア消費者法に基づき製品ラベルを翻訳する必要性について明確にしました

事案:

  • イタリアの電子製品販売業者が、製品ラベルの情報が翻訳されていないために出された没収命令について裁判で争いました。

販売業者の主張:

  • 翻訳されていない部分は、製品の特徴を宣伝するためのものであり、イタリア消費者法第6条が要求する情報ではない。
  • すべての製品情報をイタリア語に翻訳するよう一律に義務づけることは、欧州連合における「物の移動の自由原則」に反する。
  • 消費者の利益は、イタリア消費者法第6条で定められているように、必須の情報をイタリア語で記載することによって、すでに保護されている。
  • 各国が表示言語に課す条件は、消費者保護の目的に見合い、平等に適用されるのであれば認められる、とした欧州連合司法裁判所の判決 (1999年) を引用した。

当局の立場:

  • 消費者にとって必要かどうかにかかわらず、イタリア消費者法第9条はすべての製品情報の翻訳を義務づけている、と広く解釈する。

裁判所の判決:

  • 販売業者の訴えを支持し、没収命令を取り消した。
  • 追加の情報を翻訳しなくても消費者に具体的な損害を与えることはない、と判断した。
  • 欧州連合における「物の移動の自由原則」に則り、翻訳が必要なのは不可欠な情報に限定されるべきだと主張した。
  • イタリア法における「加害性の原則」との整合性を重視し、制裁が必要になるのは保護される法益が実際に損なわれた場合だとした。

判決の意義:

本判決は、この問題に関するイタリア初の判決です。本判決は、今後の解釈の手引きとなり、イタリアで消費者向け製品を販売する企業に影響を与える可能性があります。

おわりに

欧州連合の市場において、言語と消費者の権利は考慮すべき重要な事項です。翻訳の義務化によって消費者は情報を利用しやすくなるかもしれませんが、実用性を無視した包括的な要求は、貿易や商取引を妨げかねません。消費者の利益の保護と、企業にとっての公正な市場の維持との間でどうバランスを取るかは、最終的には当局と企業に委ねられます。

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