医療へのアクセスを容易にする遠隔医療リモート通訳
例えば、次のような状況を考えてみましょう。
あなたが海外旅行中に突然病気になったとします。医療機関に行くと、あなたと同じ言語を話す人はおらず通訳もいない。そんな時に、医療スタッフが持ち込んだノートパソコンやタブレット端末のボタンを押すと、あなたの言葉を理解する通訳者とすぐに話ができ、診察する医師との意思疎通が可能となる。
新型コロナの流行が始まって以来、リモートアクセスの利便性が評価され、遠隔医療の受診が増加しています。しかし、このような遠隔診療の増加は、海外の患者と医療チームとの間のコミュニケーションギャップを浮き彫りにしています。
世界の多くの医療機関では、他の言語を話す患者の遠隔サポートに取り組んでおり、そんな中、ビデオリモート通訳が大きな役割を果たしています。
遠隔医療のビデオ通訳
ノートパソコンやタブレット、スマートフォンの画面のクリックやタップですぐに利用できるビデオ遠隔通訳を利用することで、外国人の患者や耳の不自由な方でも、医師とのコミュニケーションを円滑に行えます。
患者が、予約の際に通訳が必要であることを伝えておいた上で遠隔診療を受診するようなケースも考えられるでしょう。しかし、医療現場では、両方の言語を理解する通訳が急遽求められるような状況も珍しくありません。そのような状況で、オンデマンド通訳が、患者と医師の間を取り持ちます。
遠隔医療のビデオリモート通訳の一般的なステップは次のようなものです。
- まず通訳を依頼する人がビデオリモート通訳アプリケーションを起動します。多くの場合、医師や他の医療スタッフがこれを行います。
- アプリケーションの起動後、ビデオリモート通訳ポータルサイトにログインし、識別番号を入力し、言語ペアを選択し、必要な情報を入力します。
- そして、その分野を専門とする通訳者がビデオ会議に参加します。
- そして通常、逐次通訳が行われます。話し手が一定の秒数や単語数を母国語で話し、その意味を通訳者が他方の言語に通訳していくというやり方です。このやり取りを最後まで続けていきます。
- 遠隔医療の診療セッションがケアチーム全体や患者の家族などより大人数になる場合は、同時通訳が行われることもあります。話し手の発話を遮ることなく、内容を聞きながら同時に通訳していく方法です。
- 通訳が終わると、すべてのユーザーがビデオ会議から切断されます。
リモート通訳サービスがあることで、遠隔診療への第三の場所からの通訳者の参加や、通訳が必要な緊急事態への対応など、医療の利便性が大きく向上するのです。
遠隔医療におけるビデオリモート通訳のメリット
遠隔医療ビデオ通訳により、医療従事者は、患者の話す言語に関係なく、迅速な診療が行えるようになります。このリモート通訳の主な利点は以下の通りです。
- 緊急事態への迅速な対応。医療の現場において緊急事態はいつでもどこでも起こりうるもので、言葉の壁がその切迫した状況への対処の妨げとなってはなりません。ビデオリモート通訳があれば、患者は通訳が実際に到着するのを待つことなく、自分の痛みや症状を医師に説明することができます。一刻を争うケースの場合、リモート通訳の即時性が役立つのです。
- 正確なコミュニケーションによる医療ミスの回避。遠隔医療は音声通話のみでも可能ですが、患者の症状を視認することで、より正しい診断を下すことができます。それに通訳が加わることで、患者の治療に関わる重要な情報を、言語を跨いで伝え合うことができます。例えば、医師が薬の用法用量についての指示を出した際、患者がその指示を理解できなければ、深刻な副作用が起こるかもしれませんが、通訳者が加わることで間違ったコミュニケーションを防げるのです。
- リモート通訳と遠隔診療のプラットフォーム使いやすさ。遠隔医療のプラットフォームは操作も容易で、使いやすいものでは通訳者もスムーズに参加できる仕様になっています。特に機器を追加することなく、そのまま遠隔診療に通訳者を介在させられます。
- 絶大なコスト削減効果。ビデオリモート通訳は、医療機関と患者の双方にとって費用対効果が高いものです。通訳を医療施設に呼べばそれだけコストがかかり、医療機関側だけでなく、患者側にもその負担が求められる場合もあります。通訳者に、リモートで接続してもらうことで、通訳の費用を大幅に削減できるのです。
- 受診できる医療機関の幅の広がり。専門医にかかる費用や移動の負担をなくすことで、患者は自分の健康状態に適した医師の治療を受けられるようになります。また、ビデオリモート通訳を利用することで言葉の壁がなくなり、通常では受診できないような医師から意見を聞くこともできます。
- 患者の健康増進。患者が自分の診断と治療計画をしっかりと理解すれば、それだけ医師の指示に従う可能性も高くなります。治療計画を守ることは、病状の改善や、再発防止にもつながります。
- 耳の不自由な患者にとっての利便性。外国語への通訳だけでなく、手話通訳が医師と患者の間の情報伝達をサポートするケースもあります。手話通訳が介在すれば、聴覚に障害を持つ人も遠隔医療を受けやすくなるのです。
- 患者体験の向上。バイリンガルの従業員や家族に頼るのではなく、専門の通訳に言葉の橋渡しをしてもらうことができれば、患者の満足感は高まります。医師とのコミュニケーションがうまくいかないストレスは、遠隔医療では対面の場合よりも大きくなります。通訳のサポートを得ることで医療機関は言葉の壁を越え、患者やその家族にポジティブな体験を提供できるのです。
- 曜日や時間に関わらず利用可。かかりつけ医との連絡も取れないため夜間などに急な症状が生じた場合、患者には大きなストレスが掛かります。しかし、遠隔医療と、ビデオリモート通訳では、利用できる時間帯に制約がなく、速やかに診察を受けることも可能です。
遠隔医療の利用者の増加に伴い、ビデオリモート通訳のニーズも急増するでしょう。ある調査では、医師の75%が遠隔医療で患者に質の高い医療を提供できると回答しており、そのうちの70%が遠隔医療の使用を増やすと回答しています。
遠隔医療に関わる専門通訳サービスを行っている翻訳会社では、医療機関が言葉の壁や国境に関わらず患者に最高の診療をできるようサポートしています。医療機関ごとのニーズやご要望に応じてサービスをカスタマイズできる会社を選ぶことで、患者に質の高い医療を提供できます。