欧州アクセシビリティ法: 欧州で活動する全企業が2025年までに知っておくべきこと

欧州アクセシビリティ法は、障碍者のインクルージョンを推進する欧州連合による取り組みです。この法律は、製品やサービスをより利用しやすくするため、3つの主な目標を掲げています。

  • 統一されたアクセシビリティ基準: 欧州アクセシビリティ法は、欧州連合全域で統一されたアクセシビリティ基準を作り、障碍者にとっての障壁を減らすことを目指しています。
  • 市場へのアクセスの拡大: 欧州アクセシビリティ法は、製品とサービスのアクセシビリティを確保することで、障碍者や企業が市場へアクセスしやすいよう取り組んでいます。
  • 生活の質の改善: 欧州アクセシビリティ法は、障碍者の社会参加をより容易にすることで、障碍者の生活の質を高めることを目標にしています。

この法律はもともと2019年に欧州連合が採択したもので、2022年以降、各国がこの取り組みに参加。また2025年6月28日までに、欧州アクセシビリティ法の適用範囲に含まれるすべての企業が、自社の製品、サービス、およびデジタルプラットフォームにおいてアクセシビリティを完全に実践しなければなりません。この法律の条件を満たさない場合、法的措置が取られる可能性があるため、企業は同法を理解し、積極的に対策を講じることが不可欠です。

欧州アクセシビリティ法が企業に与える影響とは

欧州アクセシビリティ法の適用範囲は広く、販売時点情報管理(POS) 技術を使用する小規模店舗から、大規模な空港の電子券売機まで、あらゆるものを対象としています。また、この法律は世界にも広く影響します。欧州連合の市民が利用できる電子商取引サイトやオンラインプラットフォームは、すべてこの法律を遵守しなければならないからです。基本的に、ウェブサイト、携帯端末用アプリケーション、動画などのデジタルサービスを提供するすべての企業は、障碍者がこれらのサービスを利用できるようにしなければなりません。

欧州アクセシビリティ法のアクセシビリティ条件を形作るのは、4つの主要原則です。

知覚できること: ウェブサイトは、すべてのユーザーが情報と画面の構成要素を知覚できるように設計しなくてはいけません。文章以外の画像やマルチメディアに代替テキストを付すことや、様々な大きさの画面やフォーマットにコンテンツを適応させることが必要です。

操作できること: ウェブサイトのすべての機能は、障碍者でも操作できるものでなくてはいけません。マウス操作ではなく、キーボードを使ってウェブサイトを閲覧できるようにする必要があります。

わかりやすいこと: 画面の操作や情報は、ユーザーが理解できるものでなくてはいけません。たとえば、文章が読みやすいことや、ウェブページを予測通りに表示・動作させることが必要です。

堅牢であること: コンテンツは、スクリーンリーダーなどのツールや様々な端末で読み取れるよう、充分に堅牢でなくてはいけません。ウェブサイトは、様々なプラットフォームで確実に処理できる、標準に準拠したわかりやすいコードを使用しなくてはいけません。

この法律は物理的な製品にも適用されます。ユーザーインターフェイスが支援技術と互換性があり、アクセシビリティを考慮して設計されている必要があります。

欧州アクセシビリティ法をめぐる時系列

欧州アクセシビリティ法を遵守すべき期限は、国によって若干異なる場合があります。しかし、この法律が適用される企業では、自社の技術をこの法律に適合させる準備を進めるべきです。欧州アクセシビリティ法をめぐる時系列は下記の通りです。

2019年3月13日: 欧州議会が欧州アクセシビリティ法を承認し、全加盟国が同法を採用することが決定。

2022年6月28日: すべての欧州連合加盟国は、この日までに欧州アクセシビリティ法に関する自国の法令を公布。

2025年6月28日: この日までに欧州アクセシビリティ法を完全に遵守することが必要。6月28日以降に同法が守られていない場合、国民は国内の裁判所に申し立てを行うことができる。

同法を遵守しなかった場合の罰則などは国によって異なりますが、罰金やその他の法的措置が含まれる可能性があります。さらに、同法の基準を遵守しなかった場合、企業の社会的評価が損なわれるかもしれません。

法令遵守の準備

欧州アクセシビリティ法を遵守する準備は、意識して進める必要があり、ある程度の時間がかかります。企業が障碍者のニーズを理解するには、障碍者自身から意見を聴かなくてはいけません。

評価

企業が欧州アクセシビリティ法の条件を満たすには、自社の現在のアクセシビリティ基準の評価を行うことから始めなくてはいけません。アクセシビリティの改善が必要な部分を特定するために、すべての製品とサービスを包括的に見直す必要があります。

法令遵守戦略の策定

次の重要な段階は法令遵守戦略の策定です。現実的な日程を設定し、2025年6月28日の期限に間に合うように社内リソースを配分する必要があります。情報技術・法務・マーケティングの担当者、また障碍のある顧客など、主要な関係者との意見交換が必要になるでしょう。

実施

この戦略の実施には、下記のような作業が含まれます。

  • ウェブサイトやアプリのデザイン見直し
  • 動画への字幕追加
  • 製品のインターフェイスの修正


監視と改善

アクセシビリティの実現は、一度限りの調整作業ではなく、継続的な取り組みです。各企業は、技術が進化しても自社の製品やサービスがアクセシビリティ基準を満たし続けるよう、定期的に見直しを行う必要があります。

課題と成長の機会

欧州アクセシビリティ法は、既存のシステムを更新する費用や労力など、いくつかの課題をもたらしますが、成長の機会も与えてくれます。アクセシビリティを重視する企業は、自社への評価を高め、顧客を増やすことができます。さらに、アクセシビリティの改善は、ユーザー体験全体の改善につながることが多く、顧客満足度を向上させることにもなります。

欧州アクセシビリティ法を遵守する上での翻訳・ローカライズ企業の役割

クリムゾン・ジャパンのような専門的な翻訳会社は、企業の方々が欧州アクセシビリティ法を遵守するお手伝いが可能です。当社がローカライズに関して提供しているいくつかのサービスは、アクセシビリティの向上にも役立ちます。

通訳サービス: 難聴の方が会話の内容を即時に理解できるよう、当社の通訳者がお手伝いします。

音声や動画のローカライズ: 字幕をつけたり、音声を追加して、視覚や聴覚に障碍のある方も利用できるコンテンツを提供します。

ウェブサイトのローカライズ: うまく翻訳されたウェブサイトは、欧州連合以外の地域から欧州に進出する企業にとって特に有用です。より多くの人がウェブサイトを利用できるようになります。

欧州アクセシビリティ法を遵守するために翻訳とローカライズのご依頼先をお探しなら、クリムゾン・ジャパンをぜひご検討ください。お問い合わせいただければ、貴社の事業や課題をお聞きし、ソリューションをご提案させていただきます。

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