翻訳プロキシ: JavaScriptとサーバーベースのプロキシをどう使い分けるか

現代のグローバルな世界において、ローカライズはもはや必須ものです。統計によると、企業が成功するには、自社のウェブサイトやアプリ、サービス等を、利用者の第一言語にローカライズする必要性が表されています。CSAリサーチによると、65%の顧客は、たとえ翻訳が不完全であっても、第一言語のコンテンツを好むようです。さらに、40%の利用者は、他言語のウェブサイトでは買い物をしません。ローカライズの重要性は多くの人が同意しますが、ほとんどの企業は、どこから手をつければよいのか悩んでいるのが現状でしょう。翻訳プロキシは、ウェブサイトを迅速にローカライズするための最良かつ最も簡単な方法です。

貴社のサイトをローカライズして、世界で収益を上げたい場合、翻訳プロキシについて知っておく必要があるかもしれません。また、JavaScriptとサーバーベースという2種類の翻訳プロキシについてもご説明します。

翻訳プロキシ: どのようなもので、どう機能するのか

プロキシとは、仲介役として機能するコードの一部やプログラムのことです。リクエストやレスポンスを受け取って、それを転送したり、何らかの形で変更したりします。たとえば、承認された情報のみを従業員が利用できるように、企業がプロキシを使う、といった場合があります。また、広告をフィルタリングするためにプロキシを使う人がいるかもしれません。

翻訳プロキシも同じように働きます。翻訳プロキシは、利用者のリクエストとコンテンツの仲介役として機能します。元の文章が異なる言語であっても、希望の言語で表示できるようにします。たとえば、利用者がスペイン語の文章を要求した場合、翻訳プロキシは取得した英語の文章をスペイン語に翻訳して応答します。

翻訳に求められるものとは

翻訳プロキシは「単語をある言語から別の言語に置き換えることだけ」といったように、一見単純な作業に思えるかもしれません。しかし、現代のグローバルな世界では、そう単純ではありません。

ほとんどの翻訳作業には、注意深い方法が必要です。文化に関わる細かな意味合い、感性、その地域の法律や規制、検索エンジン最適化の技術的側面、といったものが存在します。また、商標権や著作権についても考慮する必要があります。特に、商品名やサービス名などを翻訳するかどうかを検討する際に考慮が必要です。

翻訳が失敗した例は数えきれないほどあります。メルセデス・ベンツが中国市場に参入した時の漢字名の読み方は「Bensi」だったのですが、これは「死に急ぐ」という意味にもなります。よい名前ではありませんね。2009年には、香港上海銀行が、「Assume Nothing」というキャンペーンにおいて類似の問題に直面しました。「Assume Nothing」を翻訳したところ、いくつかの文化圏では否定的な意味合いになってしまい、混乱と反発を招いたのです。

要するに翻訳は、言葉の単純な置き換えではありません。香港上海銀行のように多くの国に拠点を持つ大企業の場合、翻訳は文化に関わる意味合いを考慮し、顧客に適切な内容を伝えなくてはいけません。

企業向けに高品質のローカライズを実現する翻訳プロキシについて理解する

文化への配慮、収益拡大のためのローカライズの必要性、および経済的現実という3点間のバランスを考えると、ほとんどの企業は翻訳プロキシを利用することになります。プロキシには、JavaScriptとサーバーベースという2種類のものがあります。

JavaScriptプロキシ

JavaScriptプロキシは、クライアントのブラウザ上で動作します。通常、ウェブページは英語などひとつの言語で書かれています。JavaScriptプロキシは、クリックやボタンの操作により、利用者が要求した言語 (フランス語など) にウェブページを翻訳します。翻訳プロキシが、英語の語句や段落などをすべてフランス語に変換して表示します。

JavaScriptプロキシを使う大きな利点は、リアルタイムでサイトを翻訳できることです。Google翻訳は、JavaScriptベースの翻訳プロキシとして人気があります。非営利団体は、Google翻訳を自団体のサイトに追加し、人々が自分の第一言語で閲覧できるようにドロップダウンメニューを提供することができます。また、翻訳はすべてクライアント側で行えるので、サーバーの余計なコストはかかりません。
しかし、大企業は、独自の機械翻訳を提供する翻訳プロキシを専門とするサービスプロバイダーとの提携を好むかもしれません。この方法が好まれる理由は、多くの場合セキュリティと機密性です。機密データのより確実な管理と、より高度なカスタマイズが可能だからです。

JavaScriptの翻訳プロキシを使えば、人間による翻訳と機械翻訳を組み合わせたローカライズも可能です。翻訳の専門家が用意した特定の語句を翻訳メモリに登録することができます。また、コンテンツ・マネジメント・システムに新しいコンテンツを追加した場合、JavaScriptプロキシはそれを抽出し、人間による翻訳の完成前に自動で翻訳することができます。JavaScriptプロキシは、新しい語句を検出して、経験豊富な翻訳者が検討できるようキューに入れることも可能です。クリムゾン・ジャパンのシステムでは、コンテンツの管理者がすべての文章を手作業で管理する必要はありません。

JavaScriptプロキシの欠点は、検索エンジン最適化に不向きな場合があることです。JavaScriptはクライアント側ですべてを翻訳するため、文章がすでに翻訳された状態でサーバーから送られてくるよりは、検索エンジン最適化に不向きなことがあります。

サーバーベースのプロキシ

その名の通り、サーバーベースのプロキシは、クライアント側ではなくサーバー上で動作します。すべてのコンテンツをウェブサイト上で翻訳するのでなく、翻訳メモリから翻訳を引き出してクライアントに送信するわけです。JavaScriptを追加する必要はありません。

サーバーベースのプロキシの利点は、検索エンジン最適化です。翻訳されたものを送信するだけなので、検索エンジンは各地域の言語でその内容を正しく検索できます。

もうひとつの利点は速度です。サーバーは、クライアントより高速です。特に、旧式のスマートフォンやタブレットのような、性能の高くない端末より高速です。サイトの正確な翻訳をサーバー上で組み立てれば、クライアントには追加の作業が発生せず、より滑らかな使用感が可能になります。

サーバーベースの翻訳プロキシの欠点は費用が高くつくことですが、キャッシュによって費用を削減できる場合もあります。サイトの翻訳を一度組み立ててしまえば、文章に変更がない限り、再度組み立てる必要はありません。費用面では、ホスティングと管理を行うサービスも必要になるため、それだけ経費が増えます。

翻訳プロキシの設定・運用・性能

翻訳プロキシの設定は、比較的簡単です。

傾向として、JavaScriptプロキシのほうが簡単に設定できます。通常は、ウェブサイトのhead部分に小さなスクリプトタグを追加するだけで済みます。このJavaScriptコードが、翻訳プロキシと接続し、翻訳メモリや機械翻訳を使って、ページ上のすべてのコンテンツを選択された言語にします。通常、JavaScriptプロキシの設定のほうが簡単で、運用にかかる費用も少ないのですが、性能はサーバーベースのプロキシより低い場合があります。

サーバーベースのプロキシは、ある程度の設定を必要とします。コンテンツ・マネジメント・システム (CMS) とクライアントの仲介役として機能するため、多くの場合、ミドルウェアとして既存のウェブサイトのコードに追加するか、CMSの後のレイヤーとして追加する必要があります。たとえば、言語に応じてデータベースから翻訳を引き出すサーバーベースのミドルウェアエンジンを追加したり、CMSの後に翻訳プロキシを追加してエッジサーバーとして機能させたりすることができます。通常、設定はそれほど複雑ではなく、性能も優れているのですが、運用する費用はより高くなります (追加するコンピューティングレイヤーの費用があるため)。

翻訳プロキシ: 必要に応じてどちらの種類も使用する

JavaScriptプロキシがいいか、サーバーベースのプロキシがいいかは、主に貴社のサイト、情報技術スキルの水準、および翻訳精度の重要性によります。JavaScriptプロキシは、簡単に実装できるものが必要なサイトに最適です。たとえば、貴社にとって新しい言語を使う市場に進出したい場合に最初に導入するには素晴らしい方法でしょう。一方、サーバーベースのプロキシは、翻訳の精度やキャッシュ、貴社のクラウド基盤全体への統合の面で、非常に有益なものになり得ます。大規模な多国籍企業なら、どちらのプロキシも使用しているところがあるでしょう。

クリムゾン・ジャパンは、翻訳業務を専門としており、翻訳プロキシも取り扱っております。当社のソリューションは、手間もかからず、費用も少なく、すぐに使え、貴社のウェブサイトと利用者をつなぎます。ひとつの言語のウェブサイトがあれば、利用者はあらゆる言語でそのウェブサイトを体験できます。翻訳されたウェブサイトは、法的な必要事項、文化に関わる細かな意味合い、およびその他の条件すべてを満たすものです。貴社のお客様を満足させ、市場を拡大したいとお考えでしょうか。当社の翻訳プロキシサービスの詳細について、ぜひお問い合わせください。

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