動画翻訳・ビデオ通訳サービスが医療業界に不可欠な理由
「百聞は一見にしかず」ということわざがあるとおり、人間の脳は、視覚的な情報がより記憶に残りやすいことが医学的にも確認されており、動画はメッセージを発信・拡散する上で非常に有効です。
テクノロジーの進歩によって、動画の重要性は増しています。今や動画は手軽に共有でき、ビュー数やエンゲージメントではテキストベースのコンテンツを凌ぐ存在となっています。例えばSNS上では、文字と静止画像の記事などより、動画コンテンツがシェアされる可能性がはるかに高いとされ、動画の視聴は文字情報を読むよりもはるかに多くの情報が記憶に残ります。
動画は、様々な業界において幅広い目的で活用されるようになっており、動画の翻訳・ローカライズや、ビデオ通話の通訳の意義も大きくなっています。医療分野においても例外ではありません。医療業界では、動画翻訳やビデオ通訳が患者の治療や研究に革命をもたらし、地理的に離れた患者への充実した医療サービスの提供にも役立てられています。この記事では、ビデオ通訳サービスが医療業界に不可欠な理由を掘り下げていきます。
ことばの障壁が健康に及ぼす影響
- 正確な情報に基づいた意思決定ができない: 医療では十分なコミュニケーションが必要なため、言葉の壁が、健康への悪影響につながる可能性があります。治療方法や健康情報を理解することができなければ、健康状態やさまざまな選択肢について十分な情報を得た上で意思決定することができません。望ましい治療を受けられない可能性もあります。
- 医療リソースにアクセスできない:国や地域によっては、その地域社会の言語で入手可能な情報の不足が、人々の健康にマイナスの影響を及ぼすことがあります。言葉の壁はまた、重要な医療資源へのアクセスの阻害要因ともなります。人々が自分たちの健康状態を理解し、管理する上で言葉による理解は非常に重要なのです。
- 意思疎通ができない: 言語の壁は海外からの渡航者と現地の人間の間だけでなく、同じ国や地域に暮らす人の間にも生じます。例えば、英語が公用語のアメリカでも、スペイン語のみでコミュニケーションをとっているコミュニティーが数多く存在します。日本にも外国語のコミュニティが存在します。地域の第一言語が理解できるかどうかという理由で医療へのアクセスの格差があってはなりません。
文字情報や動画など、形は何であれ、情報が受け取り手に正確に理解されることは、医療や健康についての情報に関しては特に重要です。
あるシステマティック・レビューでは、アメリカ国内でも10%以上のスペイン語コミュニティがあり、このヒスパニックコミュニティの80%以上が言葉の壁が原因でヘルスケアに関わる重大な悪影響を被っていると指摘しています。
医療機関が、患者に正確に情報を伝えるために、受け手の母語で情報を提供するのが最も望ましいのですが、ネット時代において、それは決して難しいことではありません。翻訳・通訳を上手く活用し、言語の壁を乗り越えることが、医療を提供する側と受診する側双方のメリットとなるのです。
ヘルスケア業界における医療通訳のメリット
近年、機械翻訳の性能は飛躍的に向上していますが、細やかなニュアンスや地域ごとの表現の違いまでは、現状の機械翻訳技術では正確に訳しきれません。特に、医療・ヘルスケア分野では、正確な翻訳・通訳が求められ、動画の翻訳やオンライン診察時の医療通訳が、以下のような場面で活躍します。
- 患者の理解と意識の向上: 動画翻訳を活用することで、医療従事者は重要な情報を患者にはっきりと伝えることができます。翻訳された動画を見てもらうことで患者は具体的な処置や治療計画などをよりよく理解することができます。これは、患者自身が治療に対して積極的に向き合うことにつながります。
- 医師と患者のコミュニケーションの向上: 医療通訳者を介したオンライン診察によって、患者はライブ感を持って医療従事者と対話することができます。こうして得られた知識は、本を読んだり、コンテンツで見聞きしたりして得たものとは質的に大きく異なります。私たちの脳は視覚情報をより効率的に処理する傾向があるため、声だけでなく表情を含めたコミュニケーションを取ることで、理解はより深まります。
- 医療情報へのアクセシビリティの拡大:動画の翻訳やキャプションは、医療のアクセシビリティと包括性を促進します。動画のオリジナルの言語が分からない人や耳の不自由な人でも、重要な医療情報やサービスにアクセスできるようになります。また、医療機関が多言語化した動画により、地域や世界のより多くの人々に情報を届けることもできます。翻訳された動画は、さまざまなプラットフォームやSNSで共有できるため、多様な背景やコミュニティの人々に医療情報を届けられるのです。
- 正確性と明瞭性の向上:動画翻訳により、医療情報を正確かつ明確に伝えることができます。動画を翻訳することで、文化的なニュアンスや言語の違いを考慮した正確なローカライズが可能になり、多様な人々に正確かつ効果的にメッセージを伝えることができます。
ヘルスケア分野における動画翻訳・医療通訳の活用
医療現場では様々な場面で動画翻訳サービスを活用できます。いくつかの例を見てみましょう。
- 医療トレーニングと教育 : 動画翻訳は、医療従事者のトレーニングや、新しい医療情報についての教育に役立ちます。医療機関は他言語に翻訳された研修動画を提供することで、様々なバックグラウンドを持つ従業員に対して一貫した知識を普及させ、全体的なケアの質を高めることができます。
- 患者教育と啓発キャンペーン:販売する製品について知ってもらうにしても、健康問題についての意識を啓発するにしても、動画は非常に有効なツールです。最新のテクノロジーを使えば、特定の集団をターゲットに、その人たちが好む言語の動画を提供することができ、多くの人々の理解を得られます。
- オンライン診察と遠隔医療: 翻訳された動画とともに、今後重要になるのがリモートでのビデオ通訳です。複雑な内容を、患者を取り残さず丁寧に説明する医療の場面で役立ちます。このような通訳サポートを、母語に翻訳された動画と合わせることで、治療の内容を把握した上でアドバイスを受け入れられるようになります。
結論
動画翻訳・ローカリゼーションは、医療業界を大きく変えるサービスです。効果的な情報発信を可能にし、言葉の壁を乗り越え、患者ケアを向上させます。特に医療に関わる翻訳では、文化的な配慮が行われた上で、メッセージや内容が確実に理解されることが必要です。
動画は患者体験を向上させ、コミュニケーションを改善し、医療情報へのアクセスを拡大します。医療トレーニング、患者教育、遠隔診察など、様々な場面での応用が考えられます。ヘルスケア業界は、動画翻訳サービスを取り入れることで、包括的なケアを提供し、世界中の人々の健康に寄与することができます。クリムゾン・ジャパンでも、豊富な経験と知見を背景に、お客様の医療のローカライズをサポートしています。